第97回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について
令和7年3月5日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構
本日、以下のとおり第97回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。
日時:令和7月3月5日(水)13:00 ~ 14:15
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 会議室A
議事内容:
・新たな特別事業計画の策定について
・負担金、廃炉等積立金及び機構予算について 等
※後日、議事要旨を公表する予定となっております。
(以上)
第97回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨
日時:令和7月3月5日(水)13:00 ~ 14:15
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 A会議室
議事要旨:
1.資金援助の額の申請及び特別事業計画の変更申請について
東京電力ホールディングス(以下、東京電力)より、以下の説明を行った。
〇3月3日、東京電力は原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、機構)に対し、要賠償額が2024年4月の総特変更認定以降、ALPS 処理水放出に伴う見積額の増加等により1,791億円増加したことに伴い、今後の賠償支払いに備えて足元の資金援助額を13兆4,058億円に変更したい旨の申請を行った。
〇機構による資金援助額の決定に際しては、予め資金援助額の変更を含む特別事業計画の変更認定が必要であることから、同計画の変更認定申請に、要賠償額及び資金援助額の増加を反映した。加えて、迅速かつ適切な賠償に万全を期すため、交付を希望する国債の額の引上げを申請すべく、2024年度の国の予算に計上されている 1.9 兆円の増額を反映した(累計15.4兆円)。また、収支見通しについても、現下の情勢を踏まえ、見直しを行った。
〇東京電力としては、特別事業計画の下で、引き続き福島への責任貫徹に努めてまいりたい。
機構事務局より以下の説明を行い、全ての点について了解を得た。
○まず、東京電力より、資金援助額の変更申請があったが、機構としても、当該資金援助額が妥当と判断することから、これについて議決いただきたい。
〇加えて、特別事業計画の変更申請についても議決いただきたい。当該変更申請は、中間指針第5次追補の策定を踏まえた追加賠償や、ALPS処理水放出影響に係る賠償等を踏まえ、東京電力に対する資金援助額が来年度にも交付国債の発行限度額を超える見込みであるところ、機構としても、迅速かつ適切な賠償に万全を期す観点から、特別事業計画の変更申請を行うことが妥当だと考えている。
〇変更申請にあたっては、変更後の特別事業計画の下で、収支計画も含め、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法上、変更認定に必要な要件を満たすことを確認している。具体的には、変更後の特別事業計画に織り込まれた収支計画は、変更前の四次総特に織り込まれた収支計画と概ね同等水準であり、交付国債で負担された資金について、東京電力において、当面の支払いが可能な経営状況にあると認識している。
〇他方、東京電力を取り巻く事業環境は、物価高や金利上昇等の外部環境の変化等により不透明感が高まっていることから、引き続き五次総特についても議論を継続し、事業環境変化に応じて、五次総特の申請も含め、必要な対応を行うこととしたい。
運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
・今後の収支計画については重ねて議論をしていくということだと思うが、13.4兆円を超える資金援助額が、全電力事業者のみならず日本全国民にかけている負荷であるということを、東京電力及び機構に改めてしっかり認識いただきたい。
・今回の変更申請は、東京電力に対する資金援助額が来年度にも、交付国債の発行限度額を超える見込みであることを踏まえ、東京電力の福島責任貫徹の観点から、迅速かつ適切な賠償に万全を期すため行うものである。
・特別事業計画の変更申請の決議にあたり、運営委員会としては、東京電力が不断の経営改革を通じて持続的に第四次総特で示した収支水準を達成することを期待して、今般決議を行う旨、併せてご認識おきいただきたい。
・東京電力を取り巻く事業環境は、物価高などの外部環境の変化に加え、柏崎刈羽原子力発電所の特重工事の長期化等の影響により不透明感が高まっており、全く予断を許さない状況である。
・このため、東京電力におかれては、福島責任の貫徹と国庫納付のための資金確保という責任を果たすべく、引き続き不断の経営改革に取り組み、更なる収支改善策と、中長期的な企業価値の向上に向けた検討を深めていただきたい。
資金援助の額の申請及び特別事業計画の変更について、原案どおり議決された。なお、今後主務省庁との協議の中で修文が必要となった場合には、その内容については書面議決を行うこととされた。
2.廃炉に関する地元説明会について
機構事務局より、以下の説明があった。
〇廃炉の本格化に向けて、住民の方々に対して今後の廃炉計画等をご説明し、東京電力及び機構の悩みを共有しつつご意見を伺うべく、昨年11月から12月にかけて、16市町村で廃炉に関する対話を実施した。
〇ご参加者からは、「30-40年で廃炉が終わるのか」、「エンドステートは更地なのか」といった廃炉の進め方に関するご質問・ご意見を多くいただいた。
〇今後も対話会を継続してまいりたい。
3.機構議決事項について
機構事務局より、一般負担金及び特別負担金、廃炉等積立金の額、機構予算並びに特別事業計画の変更について、以下のとおり説明があった。
○一般負担金は、法令の規定に基づき、一定の水準を安定的に維持できるものとなるよう定めることとしており、令和6事業年度の一般負担金総額は、令和5事業年度と同額の1,947億円(うち、従前分が1,337億円、賠償負担金分が610億円)とし、負担金率も令和5事業年度と同様とすることを軸に検討中。
○特別負担金は、法令の規定に基づき、廃炉の実施や中長期的な企業価値の向上等を含めた事業の円滑な運営の確保に必要な事業資金を確保しながらも、収支の状況に照らしてできるだけ高額の負担を求めるものとなるよう定めることとしており、令和6事業年度の特別負担金額については、同年度の東京電力の経常利益や当期純利益等の収支の見通しを基に、廃炉等積立金の取戻し計画等の将来の廃炉に必要な資金の見通しや、第四次総合特別事業計画の実行に必要な資金の額の見通し等を踏まえ、それらに必要な事業資金を確保しながらも、できるだけ高額な負担を求めるものとして、500億円とすることを軸に検討中。
〇廃炉等積立金については、燃料デブリ取り出し等による将来の大規模な支出に備え、残高を積み増しており、2024年度の取戻し額は、廃炉作業の支出が予備費も含めれば2,605億円と見込まれている。当該支出を賄うのに十分であり、残高も確保できる水準として、令和6事業年度の廃炉等積立金は2,621億円とすることを軸に検討中。
○廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画については、①着実な廃炉の実施にとって必要な予算が計上されているか及び②無駄遣いがないかという2つの観点が肝要であり、①の観点については、廃炉等技術委員会で議論を行い、十分な予算であることが確認された。②の観点については、廃炉等積立金調査基本方針に基づく調査により、概ね着実な取組が進められていることが確認された。
○機構予算については、前述の一般負担金及び特別負担金並びに廃炉等積立金について反映させた編成としたい。
○東京電力による資金援助額の変更申請については、「1.資金援助の額の申請及び特別事業計画の変更申請について」において確認いただいたとおり。
令和6年度の一般負担金年度総額及び負担金率、特別負担金額、廃炉等積立金の額並びに令和7年度の機構予算については、事務局で引き続き精査の上、後日書面議決とすることとなった。
(以上)