第93回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について
令和6年7月22日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構
本日、以下のとおり第93回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。
日時:令和6年7月22日(月)13:10 ~ 15:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 会議室A
議事内容:
・東京電力の取組について
・新たな特別事業計画の策定について 等
※後日、議事要旨を公表する予定となっております。
(以上)
第93回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨
日時:令和6年7月22日(月)13:10 ~ 15:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 A会議室
議事要旨:
1.柏崎刈羽原子力発電所の状況について
東京電力ホールディングス(以下、東京電力)より、以下の説明があった。
〇柏崎刈羽原子力発電所7号機の再稼働については、5月8日から原子炉復旧、制御棒引抜前の使用前事業者検査を含む健全性確認等を実施。6月12日までに完了し、原子炉の起動に必要な主要設備の機能が発揮できることを確認した。今後は地元理解に向けた取組を継続して実施していく。
運営委員等からの主な質問は以下のとおり。
・「核物質防護事案に係る改善措置評価委員会」では、「今後は『発電所で働く意義・目的の理解と醸成』について重点的に見ていく」と評価しているが、どのような意図か。
東京電力から以下の回答があった。
・再稼働に向けて、所員だけでなく協力企業も含めた組織全体で、発電所の日本全体への貢献を意識、共感し、モチベーションを高めることが重要という意図である。協力企業には地元の方も多いので、地域の理解にもつながると考えている。
2.廃炉に関する地元説明会について
機構事務局より、以下の説明があった。
〇原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、機構)は、廃炉が燃料デブリの取り出しに向けた新たなステージに入りつつあることを踏まえて、地元住民の皆さまに直接説明する機会として、福島第一原発の燃料デブリ取り出し工法に関する地元説明会を福島県内の13市町村で6月に実施した。
〇直接の対話の機会が重要であることを実感し、今後も年1~2回を目途に継続実施してまいりたい。
運営委員等からの主な意見・質問は以下のとおり。
・印象的な御意見はどのようなものだったか。
機構事務局から以下の回答があった。
・30~40年で廃炉は終わるのか、廃炉工程の中で想定し得る最悪の事態とはどのようなものかといった廃炉全般に関する御質問が多かった。厳しい御意見もあったが、こうした対話の機会を継続して欲しいという御意見を多く頂いた。
3.第五次総合特別事業計画策定に向けた議論について
東京電力より、以下の説明があった。
〇前回の運営委員会における指摘を踏まえ、同社の今後の利益水準や、福島責任の貫徹等のためにはさらなるキャッシュフローの改善が必要である旨などを説明。今後の対応の方向性については、廃炉賠償といった福島責任の貫徹を行いつつ、中期的には、資本力に加え専門能力獲得を目的としたアライアンス推進による競争力強化や、社会課題に的確に対応するための事業環境整備などを行っていく方針である。
運営委員等からの主な意見・質問は以下のとおり。
・送配電事業の投資では、これまでも投資の緊急性や時期を考慮しながら抑制的に対応してきたと理解しているが、今後、近い将来において修繕が必要となる設備への修繕投資まで削減・先送りすると事故に繋がりかねない。投資計画をボトムアップで策定するだけでなく、多段階で確認すべき。設備投資案件の評価基準が重要となる。
・東京電力パワーグリッドの保有するシステムへのアクセス権限設定不備について、6月に電力・ガス取引監視等委員会から業務改善勧告が出されたが、どのように受け止めているか。
・小売事業のボラティリティの高さや他社の新規参入による影響をどのように見るか。
・JERAによるキャッシュフローへの効果をどう分析しているか。
・五次総特策定に向けて、収支・キャッシュフローの見通しや対策について、更なる検討をお願いしたい。
・福島責任の貫徹、安定供給やカーボンニュートラル等への対応のために中長期的な成長、競争力の獲得が必要である。この投資原資を確保するためのアライアンスの推進について、具体的に議論を深めていってほしい。
東京電力から以下の回答があった。
・送配電設備について、過去は、一定期間経過すると自動的に改修対象としてきたのに対して、現在は、メンテナンスデータを参照しながら個々の設備状態に応じた改修を行っているが、それによって安定供給という最重要目的を毀損しているようなことは決してない。一方で、新たなリスクとして人材不足のリスクがあると考えている。設備メンテナンスを行う人材は、採用から実稼働まで時間を要するため、中長期の事業展望を提示できるようになることが重要だと認識している。
・東京電力パワーグリッドの保有するシステムへのアクセス権限設定不備については、これまでの行為規制の取組に不十分な点があったと考えており、同社の全システムの総点検を進めているところ。行為規制は事業の根幹に当たるので、社内での周知徹底や教育徹底を通じて改善に努めてまいりたい。
・小売事業について、内外無差別の進展によって競争環境がニュートラルになることもあり、小売事業の規模拡大に向けては、新規参入の動向よりは、当社自身として、調達・販売・競争の三つ巴を見ながら最適解を探していくことが重要。
・JERAを通じたアライアンスのメリットとして、東京電力の収支リスクの軽減がある。例えば、ウクライナ危機により資源価格が急騰したことで、JERAに2000億円弱の期ズレ損が発生したものの、資源価格変動を捉えた燃料トレーディングによる利益を上げたため、収支悪化影響が緩和された。配当がある一方で、もともと東京電力の営業キャッシュフローであったものの一部がJERAに移ったことはデメリットだが、アライアンスを通じて東京電力単独ではできなかったことができているという点でメリットを得ている。
・アライアンスの活用については、原子力事業と経済事業それぞれについて、人的リソースや知見・ノウハウ獲得の観点からの協業可能性も含めて継続検討していく。
4.地域共創に向けた取組について
東京電力より、地域共創に向けた取組について、以下の説明があった。
〇福島県による仮設住宅の供与期間が2025年度まで延長されることに伴い、東京電力による福島県避難市町村生活再建支援事業に対する資金拠出(寄付)及び人的協力に関し、次年度も継続して実施したい。なお、県による仮設住宅供与が2025年度で終了予定となることを踏まえ、同支援事業の終了をもって東京電力による資金拠出及び人的協力を終了する。
〇東京電力グループ子会社が寄付を行う場合は、親会社の事前承認が必要だが、調査の結果、計4件の事前承認漏れがあった。いずれも地域共創の方針に沿う内容だったが、再発防止を図る。
運営委員等からの主な意見・質問は以下のとおり。
・住宅支援の終了に対する住民の反応はどうか。
東京電力から以下の回答があった。
・県と対象自治体の間で協議した結果、事業終了を判断したと聞いている。
(以上)