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第92回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和6年6月5日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第92回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和6年6月5日(水)14:00 ~ 16:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 会議室A
議事内容:
・東京電力の取組について 
・新たな特別事業計画の策定について 等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第92回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和6年6月5日(水)14:00 ~ 16:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 A会議室

議事要旨:
1.東京電力の取組について
東京電力ホールディングスより、以下の説明があった。
〇柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、3月28日に使用前確認変更申請(燃料装荷前)を実施、4月15日より燃料装荷を開始し、4月26日に完了した。5月8日から原子炉復旧、制御棒引抜前の使用前事業者検査を含む健全性確認等を実施し、6月中旬頃に完了を見込んでいる。再稼働に向け、地元理解に向けた取組を継続して実施している。

運営委員等からの主な質問は以下のとおり。
・地元では請願採択など前向きな動きがある一方で、再稼働に慎重な声もある。こうした状況をどのように考えているのか。地元理解を得る上で、何が必要と考えているか。

東京電力ホールディングスから以下の回答があった。
・新潟県の技術委員会の議論が継続していることや、能登半島地震を受けた避難計画に係る議論も行われている状況が反映されたものと理解している。当社としては、安全性に関する丁寧な説明、防災への事業者として協力などを通じて、地元からのご理解を頂けるよう取組を引き続き進めてまいりたい。

2.第五次総合特別事業計画策定に向けた議論について
機構事務局より、総合特別事業計画(総特)の枠組みや過去の総特の変遷、今後のスケジュール(※)について説明があった。
※東京電力への資金援助について、従前の交付国債上限13.5兆円を超え、新上限である15.4兆円を前提とした申請を主務大臣に行うタイミングで次期の総特を作成する必要があり、2024年度内での総特策定が見込まれる。

東京電力ホールディングスより、以下の説明があった。
○福島第一原子力発電所の廃炉については、プロジェクト管理機能の強化を図り、中長期ロードマップの主な目標工程を達成してきているが、至近では、身体汚染や汚染水の漏えい、所内電源停止等の事象が発生しており、リスク管理・安全確保を徹底するべく、改善点の業務プロセスへの反映等を実施している。今後は、不確実性及び技術的難易度が極めて高い燃料デブリ取り出し作業等を進めていくことになるが、東京電力が「復興と廃炉の両立」の下で地元企業活用を進めていくことなどを通じ、東京電力自身のオーナーシップの向上と優れた人材の確保を進め、中長期的な廃炉を進める態勢を確立することを目指す。
○賠償については、第五次追補等を踏まえた追加賠償の未請求者への対応、ALPS処理水賠償において被害者の事情に応じた丁寧な対応等を実施していく。流通促進については、特に、諸外国の禁輸措置により影響を受ける水産物を対象として取組を推進していく。復興については、東京電力の事業活動を通じた地域経済への貢献を継続するとともに、地域とのパートナーシップ強化に取り組んでいく。
○福島責任貫徹のための必要資金を捻出していくとともに、再エネ電源開発や再エネの増加・変動を吸収するための系統投資増強など、社会的要請に応えながら、卸売りの内外無差別の進展による調達面での差別化が困難になることも見据え、収益性や事業価値を高められるよう構造改革に取り組む必要がある。これらの課題に的確に対応すべく、収益構造の抜本的な見直しが必要となっている。こうした構造改革を実現するために、財務構造の是正、アライアンス等の取組を進めていく。

運営委員等からの主な意見・質問は以下のとおり。
・廃炉に関して、難易度の高い福島第一原子力発電所の廃炉を実施することで、廃炉技術において世界の先頭に立って行くという議論が東電委員会(東京電力改革・1F問題委員会(2016年))当時にあったが、現状をどのように評価しているか。また、高度な廃炉事業に地元企業がどれだけ入り込んでいくことができるのか。
・送配電事業(パワーグリッド)における課題について、需給調整費用の高騰なども含めて、より分析の解像度を上げてもらいたい。また、送配電部門における系統増強投資の増加に関する課題については、東京電力だけてはなく業界共有の問題であり、制度面の課題もあると認識しているので、業界を挙げて国に対して対応を要請するべき。
・卸売の内外無差別の進展に伴う課題については、現物だけではなく、先物も含めて、どのように内外無差別を小売事業(エナジーパートナー)の利益につなげるのかを示すべき。
・アライアンスの活用について、具体的な進展はあったか。
・金利上昇局面に入ることによる収支面への影響についてどのように考えているか。
・総特は何年ぐらいのレンジの計画となるのか。昨年12月に運営委員会で取りまとめた東京電力による経営改革の取組等の検証・評価結果に記載した事項に対して、東京電力としてどのように取り組むのかが総特に盛り込まれると考えて良いか。
・次回は、本日示された課題に対して、どのような具体策を講じていくべきか議論を深めるべく、中期的な収支・資金の見通しや対策として考え得るオプションを示してもらいたい。

東京電力ホールディングスから以下の回答があった。
・福島第一原子力発電所の廃炉においては、デジタルツインの活用やロボットの導入といった先進的な取組も実施しているが、燃料デブリのエンジニアリングを実施する会社や燃料デブリの保管容器を製造する会社の設立、地元企業への発注や育成など、東京電力自身がオーナーシップを持って、廃炉事業を継続して実施していくために必要なサプライチェーンの構築などを実施してきている。廃炉は、請負事業者に任せきりで実施できるものではないので、こうした取組が今後の廃炉産業の展開にも活かされるものと考えている。
・送配電事業及び小売事業における課題に関しては、指摘の点を踏まえて、次回以降で、分析及び対策を示したい。
・アライアンスに関しては、大小様々な規模のアライアンスの議論を継続している。
・金利上昇に関しては、支払利息の影響は比較的小さいものの、社債発行の面では、当社債は他電力債に比してクーポンレートを高くする必要があるが、低金利の中では結果的に販売を支えてきていたが、金利が上昇する中で、他の発行体が高いクーポンを載せてくる可能性が高まると、当社の社債の魅力が相対的に低下し、調達量や調達コストに影響が出てくると考えられる。

機構事務局から以下の回答があった。
・これまでの総特では、3年から5年程度の取組を中心に記載しつつ、10年間の収支計画を示している。昨年12月の検証・評価結果も踏まえ、今後の取組と、10年後に目指す姿を示していきたい。

3.機構決算、東京電力定時株主総会への対応について
機構事務局より、機構決算と、東京電力ホールディングスの定時株主総会への議決権行使の対応について説明があり、それぞれ原案どおり議決、承認された。

(以上)

第92回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 参考資料