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第91回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和6年3月18日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第91回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和6年3月18日(月)16:00 ~ 17:30
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 会議室A
議事内容:
・東京電力の取組について 
・負担金、廃炉等積立金及び機構予算について 等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第91回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和6年3月18日(月)16:00 ~ 17:35
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 A会議室

議事要旨:
1.委員長・委員長代理の選任
委員の任期更新に伴い、委員長の互選を行い、伊藤委員が委員長に選任された。また、委員長代理は、増田委員が選任された。

2.東京電力の取組について
東京電力ホールディングスより、以下の説明があった。
〇ALPS処理水の海洋放出については、これまでに4回の放出を完了した。本年2月に人為的なミスにより放射性物質を含む水を漏洩する事象が発生したが、経済産業大臣の指導や原子力規制庁からの指示等を踏まえ、再発防止、対応の強化に努めていく。ALPS処理水の海洋放出に伴う損害賠償額は、現時点で合理的に見積もれる金額として、約515億円を計上している。
〇柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、昨年12月に原子力規制検査の対応区分が変更となり、燃料移動禁止命令が解除され、使用前確認申請に向けたプロセスを進めている。地元同意に向けた対応も継続して実施している。
〇2024年度の経営計画では、昨年12月の機構運営委員会による経営改革の検証・評価結果において「東京電力に求める点」として掲げられた主要な事項を経営計画の重要経営課題として織り込み策定を進めているところである。

運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
・福島第一原子力発電所における高温焼却炉建屋からの漏洩事象ついては、社会に不安や懸念を抱かせる結果となっており大変遺憾。経営陣がリーダーシップを果たしてもらいたい。
・福島第一原子力発電所における高温焼却炉建屋からの漏洩事象においては、手順書が現場状態と一致していなかったとの報告があったが、東京電力のマニュアルは膨大かつ分かりづらいという話もあるので、柏崎刈羽原子力発電所も含めて、現場に合わせて柔軟に見直していき、ミスなく効率的に仕事ができるようにしていくべき。
・柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の実現のためには、地元からの理解と信頼が必要不可欠。東京電力が立地地域から信頼され、再稼働の理解が得られるよう、協力会社を含め、末端まで緊張感を持って取り組んでもらいたい。
・卸売りの内外無差別化やデータセンターへの供給増などの事業環境の変化に対して、東京電力として何をしていくのか、行政に何を求めるのか、検討をしてもらいたい。
・東京証券取引所の要請を踏まえ、投資効率や資本効率に対する見方は厳しくなっている。規律を持った投資をしてもらいたい。
・次期総特に向けて、中長期的な収支・資金の見通しを検討いただき、説明してもらいたい。

3.燃料デブリ取り出し工法小委員会報告書について
機構事務局より、本年3月8日に公表された燃料デブリ取り出し工法小委員会報告書について、内容の報告があった。

運営委員等からの主な質問は以下のとおり。
・燃料デブリ取り出し工法小委員会と国際廃炉研究開発機構(IRID)の関係性はどのようになっているか。IRIDの成果はどのように活かされているのか。
・工法評価に当たっては、各選択肢について、どれぐらいの費用が掛かるのかも評価をしているのか。技術的な成立可能性だけではなく、費用に関しても工法選定に当たって考慮するべき。

機構事務局から以下の回答があった。
・IRIDでは、技術研究組合として、国の補助金も受けながら研究開発を行ってきており、気中工法の検討等においてIRIDの成果が小委員会での工法評価においても活かされている。
・費用に関しては、エンジニアリングを進めていかないと具体的には分からないが、概ね3つの工法で費用に大きな差異はないとの一定の見込みの下で工法評価を行ってきた。エンジニアリングを進める中で問題があれば、改めて工法の選定に立ち戻ることとしたい。

4.廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画について
機構事務局より、廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画、廃炉等積立金に関する調査について説明があった。
○取戻し計画では、取り戻そうとする廃炉等積立金の額として、今後3年間の廃炉費用をプログラム等別に計上。2号機の小規模燃料デブリ取り出し装置の設置や3号機の燃料デブリ取り出しに係る設計、廃棄物貯蔵庫の設置等が盛り込まれている。
○取戻し計画については、①着実な廃炉の実施にとって必要な予算が計上されているか及び②無駄遣いがないかという2つの観点が肝要であり、①の観点については、廃炉等技術委員会で議論を行い、十分な予算であることが確認された。②の観点については、廃炉等積立金調査基本方針に基づく調査により、概ね着実な取組が進められていることが確認された。

5.一般負担金及び特別負担金・廃炉等積立金の額・機構予算・第四次総合特別事業計画の変更について
機構事務局より、一般負担金及び特別負担金、廃炉等積立金の額、機構予算並びに第四次総合特別事業計画の変更について、以下のとおり説明があった。
〇一般負担金については、原子力事業者からは、今年度は業績が回復する見通しであるが、原発の停止や競争の激化等、経営環境は引き続き厳しいため、一般負担金算定において勘案してほしいとの御意見や、原子炉の事故リスクに応じた適正な負担水準としてほしいとの御意見、東京電力の廃炉資金が不足した場合に非発災事業者が不利益を被らないようにしてほしい等の御意見を頂いた。また、消費者、産業界他の有識者からは、負担金をはじめとした賠償・廃炉の財源をしっかり確保して、賠償・廃炉への対応を進めるべき、アライアンスなどを通じて事業改革を積極的に進めるべき等の御意見を頂いた。
○令和5事業年度の一般負担金総額は、令和4事業年度と同額の1,947億円(うち、従前分が1,337億円、賠償負担金分が610億円)、負担金率も令和4事業年度と同様としたい。
○特別負担金は、法令の規定に基づき、廃炉の実施や中長期的な企業価値の向上等を含めた事業の円滑な運営の確保に必要な事業資金を確保しながらも、収支の状況に照らしてできるだけ高額の負担を求めるものとなるよう定めることとしており、令和5事業年度の特別負担金額については、同年度の東京電力の経常利益や当期純利益等の収支の見通しを基に、廃炉等積立金の取戻し計画等の将来の廃炉に必要な資金の見通しや、第四次総合特別事業計画の実行に必要な資金の額の見通し等を踏まえ、それらに必要な事業資金を確保しながらも、できるだけ高額な負担を求めるものとして、2,300億円としたい。
○廃炉等積立金については、中長期的な支出の見通し及び令和6事業年度において見込まれる支出を賄うために十分な額である、2,600億円としたい。
○機構予算については、前述の一般負担金及び特別負担金並びに廃炉等積立金について反映させ、金利上昇に伴う支払利息の増等も踏まえた編成としたい。
○東京電力より、被災者賠償の中間指針第五次追補に係る支払い等のため、要賠償額が2,140億円増加したことに伴い、資金援助額を13兆2,290億円に変更したい旨の申請があり、現行総特を変更したい。(引上げ前の)現行の交付国債枠に近づいてきたことを踏まえて、次期総特の検討を進めていきたい。

一般負担金及び特別負担金、廃炉等積立金の額、機構予算並びに第四次総合特別事業計画の変更について、原案どおり議決された。
 

(以上)

第91回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 参考資料