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第87回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和5年10月13日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第87回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和5年10月13日(金)9:00 ~ 11:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 A会議室
議事内容:
・東京電力による経営改革の取組等の検証
・東京電力の取組について         等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第87回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和5年10月13日(金)9:00 ~ 11:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 A会議室

議事要旨:
1.東京電力による経営改革の取組等の検証について
東京電力から、(1)福島事業(賠償・復興・廃炉)及び(2)賠償・廃炉に年5,000億円の資金を捻出するための取組に関して、ヒアリングを実施した。

(1)福島事業(賠償・復興・廃炉)について
 東京電力から、以下の説明があった。
・第五次追補等を踏まえた追加賠償については、更なる体制強化等により、迅速・的確に処理できる目途が立った。
・ALPS処理水の海洋放出に関しては、外国政府による輸入停止措置等に対し、情報発信や流通対策等を実施。また、賠償については、個別の事情に寄り添った柔軟かつ機動的な対応を実施するべく、体制整備を行っている。
・産業振興に向けて、商工業・農林業の産業振興への貢献や、福島県浜通り地域への廃炉産業集積等に取り組んでいる。また、帰還環境整備の人的協力に向けた基盤作りとして、社員による福島の現状理解の向上等の取組を実施している。
・廃炉については、燃料デブリ取り出しに向け、原子力損害賠償・廃炉等支援機構における「燃料デブリ取り出し工法評価小委員会」での工法検討・評価と並行して、体制構築等を実施している。また、廃炉における設計・製造・施工のサプライチェーンの能力を把握し、自らこれを組織する能力(オーナー能力)の獲得・強化に向け、廃炉についての豊富な知見を持つJacobs社と協働し、オーナー能力の定義付けや目標の設定等を実施するとともに、廃炉作業実施のための人材確保のため、人財育成計画の策定、分野別のキャリアパスの明確化等を実施している。

運営委員等から、以下の意見・質問があった。
・ALPS処理水の海洋放出に関しては、引き続き、透明度高く、科学的根拠に基づいた分かりやすい情報発信を実施してもらいたい。また、賠償については、原賠機構法スキームに基づき公的な資金が使われることから、適切な支払いを確保するべく、賠償対応・モニタリングを実施してもらいたい。
・「福島への思い」を抱き、現地の状況をよく理解した上で事業に取り組むことは重要であり、事故後に入社した社員が増加する中、研修等の取組を充実させていることは評価。今後もしっかりと実施するべき。
・廃炉に係る人材を確保する上で、今後の廃炉ビジネスの展開など、前向きなコンセプトを打ち出していくことが必要。
・燃料デブリ取り出しは前例のない取組であるが、どのようなプレイヤーであれば知見があるのか。

 東京電力から以下の回答があった。
・燃料デブリ取り出しについては、直接的に経験を持つプレイヤーはほとんどいないが、海外での廃炉や汚染物の処理等の経験があるプレイヤーに知見があり、当社は米国のJacobs社からコンサルテーションを受けている。また、燃料デブリ取り出しの設計・開発等を実際に担う主体として、東双みらいテクノロジー社をIHIと共同で設立している。

(2)賠償・廃炉に5,000億円の資金を捻出するための取組について
 東京電力から、以下の説明があった。
・実質的な収益力の状況を把握するため、一過性の項目を補正した実力収支を試算したところ、賠償・廃炉への5,000億円の資金捻出は可能な水準であると分析している。
・一方で、小売事業は2024年4月に特別高圧・高圧料金見直しを実施するとともに、リスクの早期検知・対策の早期実施できる体制の整備等を実施している。
・更なる利益拡大に向けて、再生可能エネルギー事業や送配電事業における海外展開等を実施している。
・電気事業を支える人財、稼ぐ力を持った人財の確保に向けて、採用強化や離職防止の取組、専門人財の計画的な育成等に取り組んでいる。

運営委員等から、以下の意見・質問があった。
・実力収支で見ても、賠償・廃炉に5,000億円の資金を拠出する力があることは分かった。この収支を実現する上では、小売事業の収支変動をコントロールすることが重要であり、役員の関与の下で、収支リスク管理について全力を尽くして対応するべき。また、リスクをどのように検知するのか説明してもらいたい。
・小売事業は、卸売の内外無差別が進展する中で、これまでのような調達上の優位性は発揮しにくくなると想定される。収益と安定供給の両面から、東京電力として小売事業をどのように捉えるのか、整理して説明してもらいたい。
・送配電事業は、事業報酬が減少する中で、金利上昇により利子負担の増加が予想され、また、レベニューキャップ制度により高経年化対策投資・修繕等にコミットしなければならないなど、収益面・資金調達面で以前より厳しい状況にあると認識している。そうした中で、廃炉等積立金への積立が十分にできるのか、確認したい。
・安定供給の観点からは、東京電力としての取組も重要であるが、エネルギー政策として、電源開発投資が進みにくい現状への対策など、国に取組を進めてもらいたい。
・人材の確保については、東京電力だけではなく、経済界共通の課題となっているが、人材育成手法やダイバーシティに対する考え方も大きく変わってきていると思うので、引き続き、知恵を絞って取り組んでもらいたい。また、ジョブ型の採用・育成について、東京電力でどのように取り組んでいるか説明してもらいたい。

東京電力から以下の回答があった。
・小売事業における収支リスクの検知については、重要指標を、経営ダッシュボードとして簡単に確認ができるシステムを整備しており、役員を含むリスク管理に関わる者が、リスクをタイムリーに把握できるようにしている。
・小売事業について、卸売の内外無差別を乗り越え、カーボンニュートラルの時代に適応するために、東京電力としては、エネルギー・バリューチェーン全体を持っているという強みを生かしてカーボンニュートラル化を進めていくことや、エネルギーの「価格と数量の安定化」をサービスとして提供することにより、収益を確保していきたいと考えている。「価格と数量の安定化」に関しては、太陽光と蓄電を組み合わせた需要の平準化と価格の安定化等の設備ソリューションの提供等を実施していきたい。詳細は次回説明したい。
・送配電事業に係る事業環境については指摘のとおりであるが、廃炉資金に関しては、レベニューキャップ制度において廃炉等負担金が託送料金に織り込まれており、安定して拠出が可能となっている。資金調達の面では、現状ではグループ全体の資金調達の大半をパワーグリッドが行っているが、今後は状況に応じ見直しを検討していく必要があると認識している。
・ジョブ型雇用については、次回説明したい。

2.地域共創に向けた取組について
東京電力より、地域共創に向けた取組について、以下の説明があった。
・福島県避難市町村生活再建支援事業に関して、仮設住宅の供与期間延長に伴い、2024年度についても、資金拠出(寄附)及び人的協力を実施したい。
・新・総特に基づき、東京電力RPが保有する猪苗代水系の中小水力発電所について、設備改修後、固定価格買取制度(FIT制度)を活用して得られた収益の一部を福島復興に資する取組に拠出する取組を実施しているところ、「戸の口堰第一、第二、第三発電所」の設備改修工事が完了したことから、当該発電所から得られる収益の一部を福島県再生可能エネルギー復興推進協議会に拠出することとしたい。
 
 

(以上)

第87回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 参考資料