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第86回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和5年9月15日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第86回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和5年9月15日(金)13:30 ~ 15:30
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 会議室A
議事内容:
・東京電力の取組について(第1部)
・東京電力による経営改革の取組等の検証(第2部) 等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第86回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和5年9月15日(金)13:30 ~ 15:30
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 会議室A

議事要旨:
1.東京電力の取組について
東京電力ホールディングスより、以下の説明があった。
〇ALPS処理水の海洋放出について、「設備運用の安全・品質の確保」「迅速なモニタリングや正確で分かりやすい情報発信」「IAEAレビュー等を通じた透明性の確保」「風評対策並びに損害発生時の適切な賠償」に全力で取り組んでいくこととし、これを確実に進めるために社内体制の強化を図った。また、海洋放出に伴う影響に対する取組として、海洋放出の安全性に関する国内・国際社会への情報発信強化、グループ総力を挙げた国産水産品の消費拡大、事業者の事情にきめ細やかに対応する体制の強化等を実施している。
〇柏崎刈羽原子力発電所に関しては、核物質防護事案に係る追加検査における原子力規制庁の確認の視点27項目のうち4項目が引き続き確認中となっている。また、追加検査に加えて、適格性の再確認のための検査も受けることとなったところ。検査区分変更に向けて、双方の検査に鋭意対応していく。

運営委員からの主な意見は、以下のとおり。
〇ALPS処理水の放出は大きな一歩。今後の廃炉作業も着実に進めてもらいたい。一方、放出は長期に及ぶため、長期にわたって東京電力が放出の実施主体として信頼を確保することが重要であり、緊張感を持って取り組んでもらいたい。その上で、人為的なトラブル等が起きないように細心の注意を払うこと、モニタリングデータ等を国内外に向けて分かりやすく発信する努力を怠らないこと、放出の影響を受ける事業者に対して賠償や販路開拓の相談に応じることができるよう十分なリソースの手当てをすることに取り組んでもらいたい。
〇柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、監視照明の不備といった不適切事案が依然として無くなっておらず、地元や社会からの信頼回復がなかなか進まないと考える。こうした事案が再発しないような仕組みの構築と定着に引き続き専念いただきたい。

2.賠償過払い案件に関する報告について
東京電力ホールディングスより、以下の説明があった。
〇被災者の方々に本来支払われるべき賠償額より多くの額が支払われてしまった事案(過払い)に関して、会計処理や機構への報告・相談の遅れが生じた背景には、社内の内部統制上の課題があった。本事案の反省を踏まえ、モニタリングの強化による品質管理の向上や組織風土の改善、情報共有の徹底等の再発防止策を講じていく。

機構事務局より、以下の説明があった。
〇本事案を受け、機構として、東京電力の賠償口座の資金が迅速かつ適切に賠償金支払いのみに使用されているか等を検証する観点から、機構のモニタリングを強化していく。

運営委員等からの主な意見は、以下のとおり。
〇東京電力による賠償は政府からの援助資金に基づいて実施されており、慎重な取り扱いが求められることについて、担当部局の認識が不徹底であったことについては猛省してもらいたい。
○過払い案件が増えていく中で、その状況を迅速に経営層に報告していく、機構に報告をする、ということができなかったのは反省してもらいたい。報告しづらいといった雰囲気が社内にあったのであれば、しっかりと改めてもらいたい。
〇基準どおり賠償を受け取った人と、過払いにより基準以上の額を受け取った人の間で不公平が生じている。案件の悪質性、法人と個人のちがいなどを踏まえて対処方針を整理してもらいたい。

〇内部監査は、過払い案件が増加する一連の過程の中では関わっておらず、事後的な検証等の段階になってから関わっている。内部監査や経営への報告が、仕組みとして実効的なものとなるよう、検討してもらいたい。
〇福島責任の貫徹を使命とする東京電力は、迅速かつ適切な賠償の実施に最優先で取り組む必要がある。改めて下記の点を確認してほしい。
・政府からの資金が賠償の原資であることを踏まえ、賠償を進める上での課題を定期的に把握・評価し、機構と密接に情報共有・協議すること。
・複層的かつ実効的な内部統制の仕組みを構築し、事案が速やかに経営陣まで報告がなされ、全社的な対応が確保されるようにすること。
・交付される資金が原賠法に基づく原子力損害賠償のみに用いられるよう、関連業務規定を機構の確認の下で見直すとともに、規定に沿った適切な業務遂行を確保すること。
・中間指針第五次追補を受けた追加賠償やALPS処理水放出による風評被害への対応も含め、賠償を迅速かつ適切に実施するために十分な経営資源を配分すること。
〇また、機構に対しては、東京電力の賠償業務に関する取組状況を適時適切に確認することをお願いしたい。

3.東京電力による経営改革の取組等の検証について
東京電力による経営改革の取組等の検証の開始に当たり、運営委員長より、以下の発言があった。
〇東京電力は、福島第一原子力発電所事故に伴う被災者への賠償等を迅速かつ確実に実施するため、政府の資金的援助を受けており、政府から東京電力への資金援助額は、昨年12月の中間指針第五次追補の取りまとめに基づく追加賠償などに伴い、累計で13兆円となり、現在の交付国債の発行限度額である13.5兆円に近付きつつある。
〇こうした中、被災者への賠償等が滞ることのないよう必要な対策を講じると同時に、東京電力の経営改革の進捗を評価し、事故費用を確実に捻出する上で東京電力の取組は十分か、さらに取組を求めるべき点はどういった点かなど、資源エネルギー庁も参画の上、議論を進めていきたい。

村瀬資源エネルギー庁長官より、以下の発言があった。
〇東京電力福島第一原子力発電所事故の反省に立ち、福島復興を成し遂げ、廃炉と事故収束に全力を挙げること、これは現在も、国のエネルギー政策の原点。
〇ウクライナ情勢等によりエネルギーを取り巻く状況が大きく変化している。また、中間指針の見直しによる大規模な追加賠償などにより、交付国債の発行限度額に近付きつつある。
〇こうした状況においても、福島復興に遅滞を生じさせることなく、東京電力が適切に賠償等を実施していけるようにすることが必要であり、経済産業省としても、東京電力への資金援助や経営改革の取組について、検証が必要と判断した。経済産業省として運営委員会に参加し、必要となる対応について、しっかりと議論していきたい。

機構事務局より、以下の説明があった。
〇東京電力に対する資金援助の状況について、資金援助が必要な額が2024年度以降に13.5兆円に達すると推計されており、賠償の円滑な支払いを継続するためには、2024年度予算における交付国債枠の増額が必要。交付国債で負担された資金が将来確実に回収されるよう、新々総特・第四次総特において東京電力が掲げた改革の進捗や実績を検証・評価し、さらに必要となる対応強化策について議論いただきたい。
〇機構として、新々総特・第四次総特において東京電力が掲げた改革の進捗や実績に関して、評価のたたき台を作成した。
・賠償・復興・廃炉の取組については、総じて着実に進められてきたものの、第五次追補等に伴う追加賠償やALPS処理水放出に伴う賠償・販路支援等への対応、本格的なデブリ取り出しに向けた対応等が今後の課題。
・賠償・廃炉資金に年5,000億円捻出との目標については、2016~2022年度平均で年4,000億円程度が実績。直近数年は業績悪化に伴い3,000億円台に落ち込んでおり、業績悪化の最大の要因である小売事業の立て直し・安定化が課題。
・原子力事業については、安全性向上が自律的に進む組織になることが重要であり、それによって地元・地域の信頼回復を図るとともに、地域貢献の取組を強化していくことが必要。
・除染費用回収のための長期4,500億円の利益目標に向けて、総特では、共同事業体の設立や、事業領域拡大等による事業ポートフォリオの再構築を目標に掲げたが、これまでの取組はいずれも目標達成には力不足と考えられる。東京電力単独での取組には限界があり、包括的なアライアンスが必須。
〇今回の検証・評価プロセスは、本日を含め、年内に少なくとも4回程度議論いただく予定。このプロセスを通じて、賠償・復興・廃炉の取組や、賠償・廃炉資金の捻出に向けた取組、除染費用回収のための長期の利益目標に向けた取組等の評価と対応強化策、国や機構、その他のステークホルダーの協力や関与のあり方等について検討いただきたい。
〇次回は東京電力からヒアリングを実施する予定。

運営委員等からの主な意見は、以下のとおり。
〇収支について:
・直近数年は収支が悪化しているが、これは燃料高騰等により他の電力会社でも発生している事象である。東京電力には、燃料費調整など料金制度上の要因を控除した実力の収益力を示してもらいたい。
・コア事業とノンコア事業に分けて、収益構造を分析してもらいたい。
〇小売事業について:
・利益の実績が計画を大きく下回っている。小売事業の実力がどうなっているのか、マーケットにおける競争で勝っているのか負けているのか、東京電力としての評価を示してもらいたい。
・総特では、付加価値の高いエネルギーソリューションの提供等にコミットしているが、電気販売以外の分野において、どのように差別化を図るのか、収益力を上げるのか、考え方を説明してもらいたい。
〇原子力事業について:
・トラブルが起こり、再稼働に至ることができていない。これまでのトラブルの要因等をどう反省・検証し、改善していくのか。
・地元の信頼を回復していく上で、新潟に本社機能・人員を移転することは重要な取組。地元に人が移ることで、地元からの見え方は大きく変わる。目標を前倒すぐらいのことを検討してもらいたい。
〇長い時間軸で4500億円の利益目標について:
・東京電力単独で高い利益目標を実現することは現実的ではなく、また、我が国の電気事業の特性上、事業構造の変革にはアライアンスが必要との考えで、東京電力改革提言ではアライアンスを強調した経緯がある。
・JERA以降、包括的なアライアンスが進んでいない。今後どういった条件が整えばアライアンスが実現できるのか、東京電力に確認しておきたい。
・成長戦略として海外の事業展開についてどのような戦略をもっているのか、東京電力に確認しておきたい。
〇その他:
・東京電力が掲げる高い経営目標を達成させるため、取締役会の監視機能が執行側に対してどのように作用していたのかも、今回のプロセスの中で確認していきたい。
・運営委員、経済産業省、機構事務局で連携して、東京電力の資金捻出力、収益を高められるよう、評価・提案をしていきたい。
 
 

(以上)

第86回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 参考資料