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第85回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和5年6月19日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第85回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和5年6月19日(月)14:45~16:45

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 東京電力の取組について 等
※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第85回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和5年6月19日(月)14:45~16:45
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:

1.東京電力の取組について
東京電力ホールディングスより、以下の説明があった。

〇ALPS処理水について、希釈放出設備等の工事の大部分が完了。海洋放出に向けては、設備設置工事の完了、原子力規制委員会による使用前検査やIAEAの包括的報告書取りまとめ等を経ることとなる。風評影響を抑制するべく、科学的根拠に基づく情報の発信、地元・関係者との対話等を継続するとともに、海洋放出前までに、賠償基準についての合意を得るべく、関係団体との協議を重ねていく。

〇柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けては、引き続き、核物質防護事案の追加検査終了が一番の課題。追加検査を継続することとなった4項目について、原因分析と対策の深掘り等を行うとともに、こうした取組が一過性のものとならいよう確認していく。また、使用前事業者検査を進める中で、ケーブルの一部が本来敷設されるべき火災防護区域等から外れて敷設されていることが確認されており、同様な事象の有無の調査と対策を実施していく。5/22に公表した「6号機に関する書類の紛失」については、書類持ち出しの原則禁止や所員への教育等、当面の対策を実施するとともに、原因分析や再発防止対策の検討を進めている。

〇2022年度の収支悪化の要因は、小売事業において、調達電源の構成比の変化等により需要の数量変動に対して脆弱となっていた中で、世界的なエネルギー需要のひっ迫や資源価格高騰により、収支リスクが発現したことによるもの。料金改定と共に、収支リスク定量化、対策の事前準備、専任組織の新設、EPに対するHDガバナンスの高度化等の対策を実施。今後も、燃料・市場価格の変動等の収支変動リスクがあるため、リスクの発現度合いの見極めと並行して対策の検討を進めていく。

〇東京電力の人財戦略については、年齢構成の歪みや新卒採用の困難化、若手の退職等を背景に、電気事業を支える人財、稼ぐ力を持った人財をいかに確保するかが課題。採用手法の強化やシニア人財の活用、若手のリテンション、人財戦略の磨き込み、可視化(目標等の開示)等に取り組んでいる。

運営委員からの主な意見は以下のとおり。
〇ALPS処理水については、これまでの各所での尽力が活かされ、海洋放出に対する理解度が高まってきている。着実に放出に至ることができるよう、社内全体で細心の注意を払って取り組んでもらいたい。

〇柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、収支や供給力の確保の面で非常に重要。現場の職員の努力は承知しているが、小さなミスが起こらないように緊張感を持って取り組んでもらいたい。書類紛失事案等を受けた地元の首長の発言は大変重い。世の中に対して、東京電力が「変わった姿」を示し、信頼を回復していくことで、東京電力に任せることがベストであることを、地元をはじめとする関係者が確信を持てるようにする必要がある。

〇収支については、料金改定等の対策により、今年度は利益回復を見込めると考えられる一方で、今後の燃料・市場価格や他社との競争環境など不透明な点は残っているところ、経営陣において今後起こり得るリスクを管理し、着実に利益を確保することで、福島責任をしっかり果たせるように緊張感を持って取り組んでもらいたい。

〇人財戦略については、東京電力が抱える課題の多くは日本企業に共通するもの。本日示された施策を実行していくとともに、高卒の人財の確保が困難であれば大卒を採用する、人財確保のための必要な費用と考えて初任給を上げる、一度退職した人財の復帰を促進するための制度・環境を整備する、女性の活躍を促進する、他業種との交流を増やすといった更なる取組を検討してはどうか。また、廃炉に係る人財の確保のためには、廃炉がビジネスとなり、世界で経験が生かされていくという絵を描き、社員の共感を得つつモチベーションを上げていくことが重要。職員の居住環境を含めた働きやすさの改善とともに取り組んでもらいたい。

2.追加賠償における誤送付事案に関する報告について
機構事務局より、中間指針第五次追補に係る追加賠償の請求書及びダイレクトメールの誤送付の事案が発生したこと、再発防止策を徹底した上で再開予定であることについて説明があった。

3.賠償過払い対応に関する進捗状況について
機構事務局より、以下の説明があった。

〇東京電力によれば、被災者の方々に本来支払われるべき賠償額より多くの額が支払われてしまった事案(過払い)に関して、後続請求と相殺する等により被災者から返還されたものもある一方、返還合意に至らないまま長く留保されているものが約3,200件あった。また、こうした過払いは賠償開始直後から発生していたが、機構に長らく報告されないままとなっていたとのことだった。引き続き、原因究明・責任の所在・再発防止策の検討を進める。

運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
〇賠償は公的資金が原資になっており、重大な問題。次回以降の運営委員会で、事実関係についてより詳細な報告をしてもらいたい。また、東京電力のガバナンスが機能しているのか運営委員会としても確認する必要がある。東京電力の取締役会において本件をどのように受け止めたのか等を含め、事務局で進捗を確認してもらいたい。

〇こういった問題は、発生したら遅滞なく率直に、関係者に報告し、上層部が方針を決めて対処をするべきで、何か報告しづらい雰囲気があったとすれば問題と思う。どのような事情だったのかを明らかにする必要がある。

4.決算、東京電力定時株主総会への対応について
機構事務局より、機構決算と、東京電力ホールディングスの定時株主総会への議決権行使の対応について説明があり、それぞれ原案どおり議決、承認された。

 

(以上)