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第84回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和5年3月24日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第84回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和5年3月24日(金)10:00~12:00

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 東京電力の取組について
  • 負担金、廃炉等積立金及び機構予算について 等
※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第84回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和5年3月24日(金)10:00~12:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:

1.東京電力の取組について
東京電力ホールディングスより、以下の説明があった。
○ALPS処理水について、希釈放出設備等の工事が計画通り進捗している。引き続き、国内外での理解醸成活動や風評対策に取り組んでいるほか、昨年12/23に賠償基準の基本的な考え方を公表し、関係団体等との協議を重ねるなど、賠償に係る取組を進めている。
○柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けては、核物質防護事案の追加検査終了が一番の課題であり、3/8に原子力規制庁より「引き続き確認する事項(6つの課題)」が提示されたことから、対応方針を策定し、対策を実施する。また、安全対策工事及び主要設備の健全性確認を着実に進めている。
○2023年度経営計画においては、第四次総合特別事業計画(四次総特)で掲げている課題や情勢変化を踏まえた足元の課題に取り組むこととし、ALPS処理水の海洋放出、燃料デブリの試験的取り出し、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を達成していくほか、2022年度はウクライナ情勢を背景として電気販売事業における収支リスクが顕在化したことから、収支リスクの定量化、打ち手の事前策定、専任組織の新設等のリスク対策に取り組むとともに、需要の管理や料金見直し等を実施していく。また、企業価値向上に向けて、カーボンニュートラル社会を見据えた事業構造改革を加速させていく。

運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
○柏崎刈羽原子力発電所について、原子力規制庁から示された6つの課題に対して、集中して対策してもらうとともに、後で別の指摘を受けることのないよう、先回りで徹底的な対応をするべき。また、どうしてこのような課題が出てきたのか、根本的な問題はないのか、よく検証し、運営委員会に報告してもらいたい。原子力規制庁とも丁寧にコミュニケーションして、お互いの理解を深めてもらいたい。
○ALPS処理水について、地元メディアのアンケート調査結果によると理解度は高まってきていると思料されるが、あと数か月が山場であるので、引き続き、様々な媒体を通じて分かりやすく説明をするとともに、科学的エビデンスをしっかり示しながら対応していくべき。また、風評対策については、放出後も重要であるので、継続して実施してもらいたい。
○収支リスクに関しては、燃料価格や市場価格の不確実性は引き続き高い状況であるので、対策が実効的なものとなっているか運用の中で検証し、運営委員会に報告してもらいたい。また、単年度の収支だけでは対応が難しい事象も存在するので、バランスシートの面でもリスクへの担保ができているか検討が必要。さらに、先物取引の活用等、リスクのコントロールに加え、メンテナンスを含めたサブスクリプションの提供など収益拡大に向けた施策に取り組んでもらいたい。
○柏崎刈羽原子力発電所における課題の解決を含め、人材の獲得・育成・配置が非常に重要。人材への社内における関心度を高めるとともに、社内の人材の状況の可視化をして検証し、運営委員会にも説明してもらいたい。

2.賠償過払い対応に関する東京電力への報告要請について
機構事務局より、以下の説明があった。
○被災者の方々に本来支払われるべき賠償額より多くの額が支払われてしまった事案(過払い)に関して、機構への報告が速やかに行われなかったり、機構からの問合せに対して事実と異なる回答があったりしたこと、また会計処理が速やかに行われていなかったことがあった。
○機構から東京電力に対し、原因究明、責任の所在及び再発防止策について、報告を求めることとした。

運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
○本事案についてしっかりと調査するとともに、内部統制や監査が機能しているかを含めて経営陣で議論し、運営委員会にも報告してもらいたい。

3.廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画について
機構事務局より、廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画、廃炉等積立金に関する調査、燃料デブリ取り出し工法評価小委員会について説明があった。
○取戻し計画では、取り戻そうとする廃炉等積立金の額として、今後3年間の廃炉費用をプログラム等別に計上。加えて、これらの額以外の支出に備えた予備費も計上。ALPS処理水海洋放出設備の設置や燃料デブリの取り出し装置の設計・製作等が盛り込まれている。
○取戻し計画については、①着実な廃炉の実施にとって必要な予算が計上されているか及び②無駄遣いがないかという2つの観点が肝要であり、①の観点については、廃炉等技術委員会で議論を行い、十分な予算であることが確認された。②の観点については、廃炉等積立金調査基本方針に基づく調査により、概ね着実な取組が進められていることが確認された。
○廃炉等技術委員会の下に、燃料デブリ取り出し工法評価小委員会を設置した。燃料デブリの取り出し規模の更なる拡大に係る具体的工法について、来年春頃を念頭に評価を行っていくが、取りまとめ時期よりも丁寧な検討を優先。

4.一般負担金及び特別負担金・廃炉等積立金の額・機構予算・第四次総合特別事業計画の変更について
機構事務局より、一般負担金及び特別負担金、廃炉等積立金の額、機構予算並びに第四次総合特別事業計画の変更について、以下のとおり説明があった。
〇一般負担金については、原子力事業者からは、資源燃料価格高騰の影響を受けて厳しい経営状況となっており、一般負担金算定において勘案してほしいとの御意見や、これ以上非発災事業者の負担が増えないようにしてほしい、発災・非発災事業者の負担のバランスを踏まえ設定してほしいとの御意見を頂いた。また、消費者、産業界他の有識者からは、東京電力の業績が赤字のため、特別負担金の負担余力はないと考えるのは妥当であるが、機構として、東京電力の経営に対して検証を行い、適切に指導してもらいたいとの御意見を頂いた。
○一般負担金総額は、令和3事業年度において、一定の水準を安定的に維持できる金額として、原子力事業者の中長期的な経営状況を踏まえた見直しを行っており、令和4事業年度もこれを維持して、令和3事業年度と同額の1,947億円(うち、従前分が1,337億円、賠償負担金分が610億円)としたい。
○特別負担金は、東京電力ホールディングスの経常損益及び純損益が赤字となることが見込まれることから、特別負担金額は0円としたい。
○廃炉等積立金については、中長期的な支出の見通し及び令和5事業年度において見込まれる支出を賄うために十分な額である、2,700億円としたい。
○機構予算については、前述の一般負担金及び特別負担金並びに廃炉等積立金について反映させるとともに、事業費等の合理化を図りつつ、機構本部の移転費を盛り込むなどして編成した。
○東京電力より、被災者賠償の中間指針第五次追補に係る支払い等のため、要賠償額が6,173億円増加したことに伴い、資金援助額を13兆149億円に変更したい旨の申請があり、現行総特を変更したい。

一般負担金及び特別負担金、廃炉等積立金の額、機構予算並びに第四次総合特別事業計画の変更について、原案どおり議決された。

 

(以上)