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第80回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和4年3月28日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第80回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和4年3月28日(月)16:00~18:00

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 東京電力の取組について
  • 負担金、廃炉等積立金及び機構予算について 等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第80回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和4年3月28日(月)16:00~18:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:
1.東京電力の取組について
東京電力ホールディングスより、東京電力の取組について、以下のとおり説明があった。

 〇柏崎刈羽原子力発電所については、地域の方々から信頼される上で、喫緊の課題である一連の不適切事案への対応を完遂させることに加え、発電所内の一体感を醸成し、信頼のスタートラインに立つ必要がある。頼られ・頼る、地域に同化するところまで関係を発展させることを目指し、地元との連携を強化することなどを通じて、行動と実績を具体的に示していく。
 〇原子力改革の具体例として、①本社と発電所の一体運営に向け、4月以降に核物質防護事案、安全対策の一部未完了事案の対応を中心に人員を発電所等に移動する。②プロジェクト完遂のための体制・システムの導入については、「組織間連携・発注先企業等との連携の悪さ」への対策、貫通部の総点検の厳格な実施、システム化、発注先企業・機器メーカーの対応不良個所等の確認・対応、消防出身者の登用などを実施している。③核物質防護強化のための諸対策については、改善措置計画の36項目のうち、長期案件2項目以外は仕組みを構築済み又は2022年度上期中には仕組みを構築。長期案件2項目はリソースの追加投入をしながら対応を加速していく。また、警察、自衛隊出身者、電力OBの登用などを実施している。④現場の活力向上・職場環境改善のため、「発電所としての志(柏崎刈羽パーパス(仮称))」を原案作成し、2022年度上期にかけて理解・共感活動を実施するなどしている。
 〇四次総特を実現するための取り組みとして、福島責任の貫徹、信頼の回復に加えて、カーボンニュートラルを見据えた事業構造の変革を重要経営課題に掲げた。これまでの電気のキロワットアワー販売を中心とする事業構造から、電化設備等の導入・運用までを含めたエネルギーサービスを提供するモデルに変革していくため、体制を整備して取組を進めていく。
 〇小売事業は、燃料価格の変動に対応していくため、販売及び調達の両面でリスク管理を強化している。小売事業の構造を転換し、提供価値を拡大していくため、カーボンニュートラルのコンサルティングやデマンドレスポンスの活用、電化アセットサービスの展開等を進めている。
 〇賠償に関する足元の状況として、①ALPS処理水の放出に向けた賠償と、②集団訴訟について最高裁判所の決定により各高等裁判所での判決の確定が大きな変化。①ALPS処理水の放出に関しては、国の行動計画を重く受け止め、関係する方々に説明を行い、丁寧に意見を伺っているところ。②集団訴訟については、各判決において考え方や金額にばらつきがあることから、国の指導の下、適切に対応していく。

2.廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画について
機構事務局より、廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画、廃炉等積立金に関する調査等について説明があった。
○取戻し計画では、取り戻そうとする廃炉等積立金の額として、今後3年間の廃炉費用をプログラム等別に計上。加えて、これらの額以外の支出に備えた予備費も計上。ALPS処理水プログラムが予算の増加要因の一つ。
○取戻し計画については、①着実な廃炉の実施にとって必要な予算が計上されているか及び②無駄遣いがないかという2つの観点が肝要であり、①の観点については廃炉等技術委員会で議論され、②の観点については監査法人による確認を行っている。

3.廃炉等積立金・負担金・予算・第四次総合特別事業計画の改訂について
機構事務局より、負担金、廃炉等積立金、予算、第四次総合特別事業計画の改訂について、以下のとおり説明があり、議決事項について確認があった。
〇一般負担金については、従来分は、電力各社の震災後の経営環境の変化を踏まえて算定することとし、昨年度の1,630億円から1,337億円に変更する。一方、賠償の備えの不足分については、昨年度は半額の305億円だったが、今年度からは全額の610億円とする。よって、今年度の一般負担金は、合計で1,947億円とする。
○特別負担金は、交付国債の元本分を早期に回収する必要性及び廃炉の実施や中長期的な企業価値の向上等を含めた円滑な事業運営のための原資の確保の必要性のバランスを取る観点から、2021年度の経常利益や当期純利益等の収支の見通し、現行総特における収支計画、廃炉等積立金及びこれらに関連する額等を踏まえ、100億円とする。
○廃炉等積立金については、取戻し計画に基づき来年度の支出が見込まれる額及び積み増し額を合わせ、2,600億円とする。
 ○機構予算については、前述の負担金や廃炉等積立金について反映させるとともに、事業費等の合理化を図りつつ編成した。
 ○東京電力より、要賠償額が846億円増加したことに伴い、資金援助額を12兆3,976億円に変更したい旨の申請があり、現行総特を変更する。

運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
〇柏崎刈羽原子力発電所について、地元に本気度が目に見える形で伝わることが重要。その面では、本社機能の移転は良い取組。社会からの信頼回復に向けて更なる取組の徹底を求めたい。
〇発電所の停止状態が続き、現場のモチベーションが下がり、不適切事案が発生して、更に発電所の停止状態が延びるというような負のサイクルが生じないよう、トップと現場のコミュニケーション、地元とのコミュニケーションを丁寧に繰り返し行っていくべき。
〇柏崎刈羽原子力発電所について、外部の人材を投入することは良いと思うが、社員が外部の人材の意見を受け入れやすいよう、会社としてバックアップが必要ではないか。
〇柏崎刈羽原子力発電所での一連の事案に関して、外部の力を活用しながら関係者の意識調査を行い、改善していくことが重要。
〇資源価格が変動するなかでも安定的収益が生み出せるよう、具体的な取組等を考えてもらいたい。
〇カーボンニュートラルに対応した事業構造の変革については、ビジネスモデルの具体的な絵姿を示してもらいたい。カーボンニュートラルに向けて各社が取り組んでいるので、競争に取り残されないように進めてもらいたい。
〇カーボンニュートラルの取組については、海外の電力事業者の取組も参考にすべきではないか。
〇ALPS処理水の放出や集団訴訟の判決によって賠償額が増加する可能性があるかもしれないが、最終的には電気を利用する国民の負担になるので、よく精査をしてもらいたい。
 

(以上)