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第78回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和3年6月3日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第78回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和3年6月3日(木)14:00 ~16:00

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 新たな特別事業計画の策定について 等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第78回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和3年6月3日(木)
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:
1.新たな特別事業計画の策定について
東京電力ホールディングスより、次期総合特別事業計画に向けた検討状況について、以下のとおり説明があった。
○次期総特の基本方針として、1Fの事故の責任の貫徹ということは東電の最大の使命であり、そのための必要資金を捻出するべく非連続の経営改革を断行していく所存。そのため、特に原子力事業における信頼回復、多核種除去設備(ALPS)等処理水にかかる対応、カーボンニュートラル実現に向けた取組を実行していく。
〇柏崎刈羽原子力発電所における一連の不適切事案への対応については、現場に経営資源を最大限投入し、発電所の職員や協力企業と対応を行いながら、根本的な原因の究明と抜本的な改革に全力で取り組んでいるところ。小林新会長の新体制のもと、専門家の方々の評価や指導も頂きながら、原子力部門が生まれ変わるという強い決意のもとで、調査や対話を通じて明らかになった課題を整理し、具体的な再発防止策を検討展開することにより改革を進めていく。
○核物質防護設備の一部の機能喪失については、侵入検知設備の機能を維持するための代替措置が不十分だったこと、機能喪失した設備をすみやかに復旧しなかったことの2点ついて、業務の記録、文書の確認、関係者へのヒアリング等を通じて、原因分析を行っている。柏崎刈羽原子力発電所については、他電力と比較して不備が多く発生していることが明らかになってきており、柏崎刈羽原子力発電所における仕事のやり方に重要な問題があったと考えている。
○柏崎刈羽原子力発電所における工事未完了問題については、工事を行う前の段階で調査を行い、工事全体について計画を立ててから工事を実施していなかった。組織体制とプロジェクトの段取りに問題があると考えており、経営からメスを入れて立て直していく。
○原子力のエンジニアリングについては、安全かつ円滑な運営に向けて、メーカーから設備に関する情報共有を受けた上で、各設備が設計どおりに設置・運用されていることを常に確認していく必要があると認識しており、今後しっかりと取り組んでいく。
○多核種除去設備(ALPS)等処理水の処分については、政府方針を踏まえ、5つの内容を柱とする東京電力の対応方針を公表し、関係者への説明を行っているところ、正確な情報発信・理解活動を求める声を多数頂いている。
○多核種除去設備(ALPS)等処理水の処分の遂行に当たっては、経営層のレベル、現場のレベルでしっかりと国と連携した体制を構築していく。
○風評対策・賠償については、放出開始までの期間を有効に使い、引き続き関係者との協議を行っていく。また、処理水の対応に万全を期すべく、廃炉カンパニーのプロジェクト体制強化による新たなプログラムの設置を検討している。
〇カーボンニュートラルの実現に向け、新規の再エネ電源の開発、アライアンスの活用、アンモニアや水素の活用、送配電網の整備、EVの充電ネットワークの形成、再エネ100%メニューの拡充等の取組を進めていく。取組を実行するに当たっては、グループ大で連携して取組を進めるべく、カーボンニュートラル・チャレンジ・タスクフォースを立ち上げ、着実に取組を実行していく。
〇再エネも含めたイノベーションが利益につながるのは数年後からと考えており、それまではカイゼン活動によりコスト削減をさらに進めることで収益を確保していく。
〇電源のポートフォリオについては、市場の状況を見ながら安定 供給と利益確保ができるようなバランスを確保していく。
〇次期総合特別事業計画と同時に新経営理念を公表し、浸透活動 をしっかり行うことで新たな企業文化の確立に取り組んでいく。加えて、組織・機能の整理、DX、ファイナンス等の事業基盤を強化していく。

運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
〇原子力事業を行っているのは東電に限らない中、東電で不適切事案がこれほど多く発生したことが驚き。丁寧な検証作業が必要。
〇建屋間の構造や壁・床の貫通部等の詳細を東電側が把握しきれていなかったという点は驚き。能力があっても知識がなければ適切な運営は困難であり、信頼回復のためにも根本的に改善する必要がある。
〇CNに最大3兆円の投資について、新たな技術はコストの問題等様々なボトルネックがあり不確定要素がまだ多い。短期的には柏崎刈羽原子力発電所に経営資源を集中し収益を安定化させることが重要。賠償など福島への責任の貫徹のための事業基盤の確保をしていただきたい。
〇カーボンニュートラルは大きなチャンスであると同時に大変厳しい競争になる。安定的な資金調達の面でも、東京電力が日本を代表するエネルギー企業としてカーボンニュートラルの実現に向けた取組をリードしていくことが重要。
〇新経営理念のもと、福島に対する重い責任を負いながらも、21世紀を担うエネルギー企業として発展するという展望を社員が持てることは重要。
〇柏崎刈羽原子力発電所が再稼働するまでの期間、どのように短期的に利益を生み出すのかが課題。
〇再エネが増加する中で、調整力用の電源を含めた電源ポートフォリオをどのように想定するか、調整力確保のための市場をどのように活用するか、今後の政府の検討も踏まえ検討いただきたい。
〇次期総合特別事業計画が認定された場合には、東電の改革は新たなスタートを切る。新々・総特の改革は道半ばであり、カーボンニュートラルの期待が高まる中で変革に挑戦し、企業価値向上につなげていただきたい。
〇フリーキャッシュフローが厳しい状況にあっても、カーボンニュートラル実現に向けた投資は必要。政府もトランジション・ファイナンス等への優遇施策を検討しており、こうしたファイナンスの機会を活用し資金を確保することで、カーボンニュートラルに向けた投資に注力していただきたい。
〇経営戦略と人財戦略の連動が重要。東京電力はカーボンニュートラル実現に向けて、経営戦略をまさに大きく転換していくところであり、経営戦略と同期するような人材戦略を練り、実践していただきたい。

(以上)