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第77回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和3年3月25日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第77回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和3年3月25日(木)13:00~15:00

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 東京電力の取組について
  • 負担金、廃炉等積立金及び機構予算について 等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第77回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和3年3月25日(木)13:00~15:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:
1.東京電力の取組について
東京電力ホールディングスより、東京電力の取組について、以下のとおり説明があった。
○福島原子力発電所事故の反省と教訓を踏まえ、二度と重大な事故を起こさないように取り組んできた中で、核物質防護に関する事案が立て続けに発生し、原子力規制委員会より厳しい評価を頂いたことを大変重く受け止めており、また地元の皆さまや広く社会の皆さまに大変な御不安・御心配をおかけしていることを深くお詫び申し上げる。
○柏崎刈羽原子力発電所については、ID不正使用、工事の一部未完了の問題に続き、長期間にわたる核物質防護設備機能の一部喪失が明らかになり、発電所の存続を問われる危機的な状況にあると認識している。事案の根本的な原因究明と組織文化の作り直しのための課題の洗い出しを行うとともに、第三者の評価・助言に加え他電力の取組も取り入れ、抜本的な対策を行っていく。 
○核物質防護は情報の秘匿の必要性の観点から、マネジメントが非常に限られた人員の中で閉じていたが、今後はしっかりと予防措置を講じられるような報告やガバナンスの仕組みを構築することが重要。個別の事案への対処にとどまらず、情報共有のあり方を含め、正しい行動を定義し、それに対してモニタリングを実施するルールや体制を構築していく。
○低廉で安定的かつCO2を排出しない電気を供給することも電気事業者としての責務であり、政府の議論も踏まえつつ、カーボンニュートラルに貢献していく。
〇東通村での新たな地域共創の取組として、東通村と東京電力で「一般社団法人東通みらい共創協議会」を設立した。協議会のもとで実施される事業については東京電力としてもしっかりと関与し、地元本位の地域共創を実現するため取り組んでまいりたい。
〇販売電力量が減少し、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が見通せない状況においても、福島への責任を果たすための費用を捻出するのが東京電力の使命であり、さらなるコスト削減や、EV等も含めた電化の推進等による企業価値の向上に向けて取り組んでいく。
○2021年度のグループ経営計画については、目標を各責任役員に割り当て、KPIを設定した上で、PDCAを回し、目標が達成できるように取り組んでいく。特に原子力事業については、柏崎刈羽原子力発電所における事案の根本的な原因と対策を踏まえ、実施事項を策定していく。
○小売事業については、今冬の電力需給逼迫も踏まえ、広く電力自由化の在り方も含めたさらなる市場整備の議論が進展するものと認識。より幅広いお客さまに選んでいただけるよう、新たなメニューの提案などを実施していきたい。
○電源の調達については、販売電力量に応じた適正な調達を行い、費用の削減にもつなげていく。

2.廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画について
機構事務局より、廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画、廃炉等積立金に関する調査等について説明があった。
○取戻し計画では、取り戻そうとする廃炉等積立金の額として、今後3年間の廃炉費用をプログラム等別に計上。加えて、これらの額以外の支出に備えた予備費も計上。
○取戻し計画については、①着実な廃炉の実施にとって必要な予算が計上されているか及び②無駄遣いがないかという2つの観点が肝要であり、①の観点については、先行して開催された廃炉等技術委員会で議論を行い、十分な予算であることが確認された。②の観点については、廃炉等積立金調査基本方針に基づく調査により、概ね着実な取組が進められていることが確認された。

3.廃炉等積立金・負担金・予算・新々・総合特別事業計画の改訂について
機構事務局より、負担金、廃炉等積立金、予算、新々・総合特別事業計画の改訂について、以下のとおり説明があり、議決が行われた。
〇一般負担金については、各電力より小売全面自由化による競争の激化等の事情により、足下の経営状況が厳しいとの御意見を頂いた。また消費者、産業界他の有識者からも、消費者に過度な負担とならないようしてほしい、東京電力の経営改革をしっかりと進めてほしいといった御意見を頂いた。今年度からは賠償の備えの不足分を広く託送料金から回収することとされており、頂いた御意見も踏まえ、一般負担金は前年と同様の1,630億円に賠償の備えの不足分の305億円を加えた1,935億円とさせていただきたい。
○特別負担金は、交付国債の元本分を早期に回収する必要性及び廃炉の実施や中長期的な企業価値の向上等を含めた円滑な事業運営のための原資の確保の必要性のバランスを取る観点から、2020年度の経常利益や当期純利益等の収支の見通し等を踏まえ、500億円としたい。
○廃炉等積立金については、取戻し計画に基づき来年度の支出が見込まれる額及び積み増し額を合わせ、2,600億円とさせていただきたい。
○機構予算については、前述の負担金や廃炉等積立金について反映させるとともに、事業費等の合理化を図りつつ編成することとした。
○東電HDより、要賠償額が4,394億円(被災者賠償に係る見積額が1,421億円、除染等に係る見積額が2,972億円)増加したことを踏まえ、資金援助額を12兆1,327億円に変更したい旨の申請があり、損害賠償請求権の消滅時効への対応に関する記載とともに、現行総特の変更を行いたい。

運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
○国内外に原子力発電所が設置されている中、東京電力だけで多くの問題が発生していることは非常に残念。問題の本質に迫れるかが重要であり、問題に対しては1つ1つ真摯に対応していただきたい。
○核物質防護はその性質から限られた人員で実施する必要があるのは当然であるが、上層部への報告のルールなども含め、適切な運営のためのルールをしっかりと検討いただきたい。 
○海外の原子力の専門家も招聘し企業文化の変化を試みてきた東京電力の改革が後退しているのは非常に遺憾。ガバナンス強化の観点から、海外も含めた専門家によるチェック機能や、監査委員会の改革などの取組が必要ではないか。 
○柏崎刈羽原子力発電所の事案に対して行われている様々な対応を踏まえても、簡単には状況の改善が見込めない中、次期総合特別事業計画の記載については改めてよく検討いただきたい。 
○カーボンニュートラルに向けてしっかりと東京電力としてコミットするとともに、今後の再エネ開発なども含め道筋を示す必要がある。 
○再エネについては、先進的な海外企業を中心に積極的な導入を進める動きもみられるが、供給力やコスト面での課題がある。カーボンニュートラルの達成の観点から、低廉かつ安定的な原子力発電は引き続き重要であり、政府の議論も踏まえつつ、東京電力の取組を国民に広く理解いただけるようにすることが必要。 
○東通村との地域共創の取組は、地元の方との信頼関係構築の観点から非常に重要。原子力事業全体の信頼回復の取組にも留意しつつ、慎重かつ丁寧に進めていただきたい。 
○2021年度グループ経営計画については、KPIを設定し達成状況の検証をしていただきたい。また、小売事業については、収支を安定化させるための施策を講じていただくとともに、定期的に状況を報告いただきたい。
 

(以上)