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第76回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和3年3月1日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第76回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和3年3月1日(月)13:00~15:00

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 東京電力の取組について 等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。

 

(以上)

第76回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和3年3月1日(月)13:00~15:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:
1.東京電力の取組について
 東京電力ホールディングスより、東京電力の取組について、以下のとおり説明があった。
○柏崎刈羽原子力発電所において、IDカードの不正使用、安全対策工事の一部未完了の問題が生じていることについて、社会の信頼を損なう事態が発生したことは大変申し訳なく、お詫び申し上げる。
○2つの問題の原因を分析し、再発防止策に取り組んでいく。取締役会においても、共通する要因として東電の企業文化に対する強い懸念があり、パッチワークではなくファクトベースで総点検し、信頼される組織とは何かという観点から組織文化を再構築しなければならない。
〇良い会社にするためにお互いに指摘をし合うことができていなかった点など、構造的な要因は福島第一原子力発電所事故とも共通する可能性も踏まえて、組織づくりや教育の見直しを進める。 
〇ID不正については、警備、個人、組織それぞれへの対策が必要。そのほかIDの再発行にかかるルールの明確化や委託先の警備会社も含めてセキュリティへの理解を醸成するといった対策に取り組んでいく。
○核セキュリティで問題が発生した場合の社会への公表のルールについては、セキュリティへの影響も勘案し、公表の範囲や時期について地元の方も含めて御了解を得ておく必要がある。
○工事未完了問題については、改革チームを組織して総点検を行っているところであり、長期間かかる工事プロジェクト全体のコントロールが足りなかったことへの反省を踏まえ、対策を立てていく。また、工事管理組織への指示を管理する仕組みについても対策を行う。
○福島第一原子力発電所の廃炉については、汚染水発生量の抑制、多核種除去設備(ALPS)等処理水の二次処理など進捗があった一方、新型コロナウイルスの影響による燃料デブリ取出し作業の遅延が発生した。全体の大きな目標を設定した上で、前後のプロセスで不具合が発生してもリカバリーをしながら進める必要があると考えており、廃炉中長期実行プランも改訂しながら精度を高めていく。
○2月に発生した福島県沖を震源とする地震では、外部に影響を及ぼすような影響は確認されていないものの、地震計の故障に対応できていなかった点について、再発防止策を含めて今後しっかり取り組んでいく。
○今冬発生した電力需給逼迫の主な原因は、LNGの不足リスクを織り込んだ追加対策の遅れによるLNG在庫の不足や、LNG火力に依存した電源構成と認識。今後は、需給バランスにおける電力供給量の評価の不足などの課題に対し、政府による検証や制度設計の議論にも最大限協力を行っていく。
○2020年度の収支については、コスト削減の深掘りなどの上振れ要因がある一方、コロナの影響による販売電力量の減少といった下振れ要因が存在する。今冬の需給逼迫の収支への影響については、グループ内各社への影響を精査していく。

運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
○今回の事案により、東京電力は国民の信頼を失ったのではないか。従来の仕組みや取組の不備について徹底的に解明し、地元の方々を含めた皆様に納得いただけるようなアクションが必要。 
○安全対策はスキルとマインドの掛け算により達成されるが、マインドに影響する組織文化を変えることは簡単ではない。カーボンニュートラルというグローバルアジェンダへの貢献などもとらえながら、今一度、原子力に関わる全社員の意識向上に取り組むべき。 
○ID不正利用について、運営委員会や取締役会での議論を踏まえ、今回の事態を招いた要因の徹底的な検証とガバナンス全般に係る抜本的な改革を提示してほしい。 
○不正入域については、IDカードが無い場合原則通してはならないのは大前提。その上で、緊急時に対応するための仕組みも別途必要ではないか。また上司への適切な報告を阻む企業文化があるとすると、大きな問題。
○安全対策工事の一部未完了問題については、工事を行う部局への基本的な伝達がきちんと行われる仕組みを整備し、間違いを防ぐことが必要。
○福島第一原子力発電所の廃炉については取組の進捗を評価するが、スケジュールありきではなく、見直しが必要な個所はアップデートしていくべき。 
○電力需給逼迫の発生は、ベースロード電源として原子力が稼働していなかったことが要因のひとつと考える。検証にあたっては、カーボンニュートラルの観点も含め、原子力の重要性を改めて考慮する必要があるが、そうした中で柏崎刈羽原子力発電所のような事態が生じたことは、誠に遺憾。 
○今冬の需給逼迫によって、制度や電気事業者の取組に改善の余地があることが明らかになった。安定供給と経済合理的な経営を両立させるよう、今回の事象の原因分析と万全な対策を行ってほしい。 
〇収支については、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が見通せなくなる事態に備え、必要な対策を実行に移すべき。
 

(以上)