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第73回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和2年3月30日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第73回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和2年3月30日(月)8:00~10:00

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 新たな特別事業計画の策定について
  • 廃炉積立金、負担及び機構予算について 等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。


(以上)


第73回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和2年3月30日(月)8:00~10:00
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:
1.次期総合特別事業計画に向けた検討について
 東京電力ホールディングス(以下、東電HD)より、次期総合特別事業計画に向けた検討状況について、以下のとおり説明があった。
○事業基盤の強化のため、個々の社員がお客様のために変革を恐れず挑戦する、新たな企業文化を確立するとともに、非連続の経営改革を牽引する人財の確保・育成等にも取り組んでいく。
○脱炭素社会の実現に向け、省エネ技術も活用しながら、お客様が少ない負担でクリーンなエネルギーを利用できるようサービスを提供していく。
○防災に関する取組を強化し、電気設備の維持・管理の高度化に加えて、お客様がエネルギーを活用した生活・事業を継続できるようにするところまでをサービスとして提供していく。
○脱炭素や防災といった価値提供のため、DX・デジタル技術を取り入れ、業務プロセスの刷新を行うとともに、ビジネスモデルや企業文化の変革、サービスそのものを個々のお客様のニーズに応えるべく最適化していく。
○価値提供等を通じて大きな利益を創出し得る事業について、必要な組織能力が不足する場合には、資本提携や外部人材登用等を含めて、外部から獲得することにより迅速な事業拡大を図る。
○福島への責任の貫徹が変わらず最大の使命という認識の下、グループ一丸となって非連続の経営改革に取り組む。
○復興と廃炉の両立に当たって、地域の皆様の不安や疑問に真摯に耳を傾け、適時・的確な情報を発信するといった双方向のコミュニケーションを通じて、社会に対する説明責任を果たしていく。
○中長期ロードマップ等に掲げられた目標を達成するため、2020年から2031年までの主要な作業プロセスを明示した、「廃炉中長期実行プラン2020」を公表した。廃炉作業の今後の見通しについて、より分かりやすくお伝えしていく。
○本プランの作業プロセスを元にしたデブリ取出し準備等にかかる支出想定額は、この12年間で1兆3,700億円、そのうち作業費用に係る支出は3,500億円の見込み。
○電力小売事業においては、法人分野にて、BCP設備や水処理設備等も含めたユーティリティ設備全体のエネルギーサービスを展開していくことで、安心・省エネ・省コスト・省力化の価値提供を実現するため、料金設計の見直しやセット販売の在り方を検討していく。
○送配電事業においては、ヒューマン、アセット、データという3つの経営資源を活用して、地域・社会において様々なサービスを提供する自治体や事業者等の活動を支え推進する基盤を構築し、事業領域を拡大していく。
○原子力発電は、運転コストが低廉で変動も小さいベースロード電源であり、脱炭素社会に不可欠で地政学的リスクの影響も受けにくく、首都圏災害時には電力の安定供給を支える電源として期待される。
○2020年末には安全対策工事が完了する見込みである柏崎刈羽原子力発電所7号機については、避難計画の実行性等の追求に取り組み、地元の御理解と御協力を得られるよう取り組みつつ、運転再開を目指していく。
○東通原子力発電所については、拡張可能性を有する長期的有望地点として、世代を超えて、今後の東電HDの原子力事業を支え続け得る重要な発電所であることから、早期建設に向けた取組を積極的に進めていく。
○東京電力フュエル&パワーは株主として、JERAへの適切なガバナンスを実施していく。特に、事業計画策定においては、課題を共有するとともに、その対策が随時柔軟に反映されるよう、支援・監督を行っていく。
○本年4月より、再生可能エネルギ―発電事業を担う東京電力リニューアブルパワー株式会社が事業を開始する。再エネ電源の開発を通じて、安定的に低廉な電気の供給を目指していく。
○重点的に取り組む新規事業領域として、再生可能エネルギー事業、モビリティ電化事業、データ・通信事業、海外事業を定め、他者との連携等による中長期的な利益拡大により、企業価値向上を図る。
○海外への事業展開においては、国内外で置かれている状況の違いをよく検討しながら、技術的な努力により得られたコストダウン効果等をしっかりと収支計画等に織り込んでいく。
○DXについて、まずは防災の観点から成果を早期に実現を目指す。さらに他の業務においても、DXやデジタル技術、カイゼン等のノウハウを活用することで、従来業務の延長に留まらない業務プロセスの刷新を行う。

2.廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画について
 機構事務局より、廃炉等積立金制度に基づく取戻し計画、廃炉等積立金に関する調査等について説明があった。
○取戻し計画では、取り戻そうとする廃炉等積立金の額として、今後3年間の廃炉費用をプログラム等別に計上。加えて、これらの額以外の支出に備えた予備費も計上。
○取戻し計画については、?着実な廃炉の実施にとって十分な予算があるか及び?無駄遣いがないかという2つの観点が肝要であり、?の観点については、先行して開催された廃炉等技術委員会で議論を行い、十分な予算であることが確認された。?の観点については、廃炉等積立金調査基本方針に基づく調査により、概ね着実な取組が進められていることが確認された。

3.廃炉等積立金・負担金・予算・定款・業務方法書・要賠償額の変更(新々・総合特別事業計画の改訂)について
 機構事務局より、廃炉等積立金、負担金、予算、定款・業務方法書、要賠償額の変更について、以下のとおり説明があり、議決が行われた。
○廃炉等積立金については、取戻し計画に基づき来年度の支出が見込まれる額及び積み増し額を合わせ、2,804億円とさせていただきたい。
○一般負担金については、各電力より小売全面自由化による競争の激化や原発の再稼働が進んでいない等の事情により、足下の経営状況が厳しいとの御意見を頂いた。また消費者、産業界他の有識者からも、消費者に過度な負担とならないようしてほしい、情報発信の強化等にしっかりと取り組んでほしいといった御意見を頂いた。こういった御意見も踏まえ、前年と同様の1,630億円とさせていただきたい。
○特別負担金は、交付国債の元本分を早期に回収する必要性及び廃炉の実施や中長期的な企業価値の向上等を含めた円滑な事業運営のための原資の確保の必要性のバランスを取る観点から、2019年度の経常利益や当期純利益等の収支の見通し等を踏まえ、500億円としたい。
○機構予算については、前述の負担金や廃炉等積立金について反映させるとともに、事業費等の合理化を図りつつ編成することとした。
○定款・業務方法書について、平成30年12月、改正原賠法の成立により、原発事故により避難指示を受けた被害者等に対し原子力事業者による迅速な賠償金の仮払いを促すため、国が仮払いのための資金を事業者に貸付ける制度が創設され、当該貸付業務に関し、機構が国の委任を受けて実施することとなるため、定款及び業務方法書における機構の業務範囲に当該業務を追加したい。
○東電HDより、要賠償額が5,287億円(被災者賠償に係る見積額が476億円、除染等に係る見積額が4,811億円)増加したことを踏まえ、資金援助額を11兆6,932億円に変更したい旨の申請があった。

 運営委員等からの主な意見は以下のとおり。  
〇収支見通しについて、電力小売販売や再エネ事業の動向、柏崎刈羽原発の再稼働時期、脱炭素等の潮流の中でJERAの事業環境が厳しいこと等を踏まえ、収益下振れリスクが顕在化した場合の具体的な対策を検討しておくべき。
○収支、特に電力小売分野での収益改善見通し及び目標設定の妥当性について、しっかりと検討いただきたい。
○東京電力が事業を行うに当たり必要な環境整備については、積極的に主張していくことも必要。
○福島への責任の貫徹と自立的な運営体制への復帰のため、モラルと緊張感を持ち続けていただきたい。
○廃炉については、これまでの進捗について、具体的にどういった部分が進展したのか、明らかにすべき。
○今後の廃炉作業については、まだ未確定な部分が多いはずなので、廃炉中長期実行プラン2020等で決められたとおり進めるということだけではなく、スケジュールが多少遅れたとしても、リスク低減等安全を重視するということが重要。
○電力小売においては、リーズナブルな価格設計、安定供給、電源の選択等の顧客ニーズが想定されるが、特にリーズナブルな価格という観点は重視されると思われるので、その辺りを意識すべき。
○送配電事業において、海外との事情の違いを把握することやベンチマーキングをしっかりと行い、コストダウンや事業展開の余地がどの程度あるのかという分析に取り組んでいただきたい。
○柏崎刈羽原発の再稼働については、どの程度進捗しているのか。
○新規事業の進展においては、他者との連携、外部人財・外部技術の積極的な導入等のオープン・イノベーションが重要。
○次期総合特別事業計画の実現に当たっては、サステイナブルファイナンス、グリーンファイナンスといったテーマに東京電力がどう取り組んでいくかという視点も必要。
○次期特別事業計画が実態のあるものとなるよう、現場レベルへの浸透策についても検討いただきたい。

(以上)