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第71回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

令和2年2月4日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第71回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:令和2年2月4日(火)16:30~18:30

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 新たな特別事業計画の策定について
  • 廃炉・汚染水対策に関する至近の動きについて(中長期ロードマップ等)

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。


(以上)


第71回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:令和2年2月4日(火)16:30~18:30
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:
1.新たな特別事業計画の策定について
 東京電力ホールディングスより、新たな特別事業計画の策定に向けた議論について、以下のとおり説明があった。
○稼ぐ力が徐々に蓄積されつつあるものの、まだまだ取り組みは道半ば。小売事業における販売電力量と利益の下落や、他社を含めた原子力発電所の停止の長期化など、足元での東京電力の経営環境は大変厳しい状況。事業の根幹である電力事業を伸ばしつつ、同時に新規事業を立ち上げ、持続的な成長の基盤を作っていく。
○送配電事業ではレジリエンス強化や高経年化設備の対策に必要な費用を確保する必要がある中で、全体の収益を上げるためには、まず小売事業で確実に収益を確保することが必要。その上で、カイゼンの深掘り等による更なるコストダウンを進めるとともに、再エネ事業などの新たな収益源を確保していく。
○小売事業については、利益管理を徹底するほか、電源の合理化を行うことで固定費を低減していく。加えて、エネルギーマネジメントや安心・安全、便利さといった価値を訴求していく。
○小売事業や送配電事業などでは、他社との協力も含め、オペレーションコストを下げることが重要。加えて本質的には、電化の促進・防災に関するサービスの提供による需要拡大や、成長が見込める海外への展開など、新たな収益の確保を求めていく。
○送配電事業については、送配電ネットワークの健全な状態の維持・強靭化による電力の安定供給確保、再エネの導入拡大に対応する送配電ネットワークの形成、効率化による廃炉費用捻出を目指すとともに、中長期的には電源の分散化、需要密度の地域間格差、広域での需給調整拡大といった変化に対応できる送配電ネットワークの在り方を検討していく。
○送配電事業において他社と協業すべき点として、送配電事業者同士が横で連携することと、全国でサービスを展開している事業者と連携する2種類の取組を進めることで、原価を下げ、トップラインを上げていくことを目指す。
○送配電事業はコスト削減により近年は安定した収益を上げている。一方で、小売事業においては競争激化や安価な電源の市場への流れ込みにより、大きく利益を棄損。さらに、非稼働電源の維持費等の負担も大きいことから、その意味でも柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を実現することが大変重要。それまでの間、自らの事業にとって価値の低いものを売却し、より価値の高いものへの投資を進める決断が重要。
○CO2の観点からの石炭火力の扱いについては、JERAにおける発電割合は相対的には低いものの、日本全体を見据えると大きな柱の一つ。日本の安定供給が損なわれる可能性を踏まえると、その扱いは難しい。段階を踏んだプロセスが必要であり、中長期的に取り組むべき課題。その観点からも柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は重要。
○再エネの開発機会を逃さないために、当面は東京電力もJERAも、それぞれのリソースを使って狙った開発機会をきちんと獲得していくことを目指している。
○社内外から積極的な人材登用を行うとともに、組織文化の改革を続け、新たな企業文化を確立していく。
○賠償については、3つの誓いを引き続き貫徹していく。復興に向けては、これまで官民合同チームやまちづくり会社、農業法人への出資などの活動を続けてきたが、今後は廃炉においても地域との共生を目指し、復興に向けてしっかりと取り組む。
○廃炉と復興は車の両輪という意識の下、担当部門の責任者だけでなく、実務レベルにおいてもコミュニケーションを重視し、連携して取り組んでいく。

 運営委員等からの主な意見は以下のとおり。  
〇小売事業の利益確保のための戦略は効果が出る見込みがあるのか。納得感のある分析と戦略を検討すべき。
○送配電事業について、3年前に自ら掲げた「2025年度に世界水準の託送原価の実現」という目標は非常に印象的であり、ぜひ実現してもらいたい。
○低廉な電気を安定供給する使命を達成するため、将来のネットワークの在り方も検討した上で、あらゆる検討を進め、実行して欲しい。
○送配電事業について、東京電力として他社に勝てる要素を見出すことが必要。その際、協調領域と競争領域の見極めが重要。
○電力会社同士や他業種も含めたパートナーシップについての検討状況はどうか。
○東京電力として経営改革に努力し続けなくてはならないが、特に柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に全力を注ぐことが必要。
○本日の説明だけでは、小売、送配電、再生可能エネルギー、新規事業といった各分野で必要な収益を実現することができるのかが分からない。
○全体としての経営や収益の現状は分かるが、各社の状況をより詳細に分析すべきではないか。
○国際的にCO2に対して逆風が強まる中で、石炭火力について従来の考え方だけでは対応できない可能性を踏まえ、検討すべき。
○再エネを収益源にするという戦略は東京電力もJERAも同じだが、棲み分けができているのか。
○CO2への逆風の中で、JERAの強みであるLNGをどう位置づけるか検討が必要。
○グリーンファイナンスなどの資金調達も検討すべき。
○人材獲得やDXなどを通じて企業文化をどのように変えていくべきかについて、踏み込んで検討すべき。
○事故発生から今年で9年になり、賠償は7兆円近く支払っているが、今後は心情的な課題にも対処しなければならない。
○廃炉と復興は車の両輪であるという認識が非常に重要。どちらか片方が遅れることのないよう、両方の観点から進めるべき。

(以上)