トップページ>賠償支援>運営委員会運営委員会議事次第>第62回委員会 議事次第 議事要旨

第62回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

平成29年11月17日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第62回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:平成29年11月17日(金)8:00~9:30

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 東京電力の取り組み状況について 等

※後日、議事要旨を公表する予定となっております。


(以上)


第62回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:平成29年11月17日(木)8:00~9:30
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:
1.委員長等の選任について
 新しい運営委員長として伊藤委員が、運営委員長代理として金本委員が選任された。
2.新体制による経営改革の取組等について
 東京電力ホールディングスの川村会長及び小早川社長から挨拶と新体制による経営改革の取組について説明があった。
○「社内の風通しの悪さ」や「意思決定の遅さ」は少しずつ改善しつつあるが、依然として満足できる水準ではなく、福島の皆様のことを考えれば、物事を早く進めることが最も必要なことであり、そのためには東京電力が一層主体的に取り組むことが重要。
○様々な課題について、東京電力の役割や具体的なアクションを明確化することが、東京電力の主体性を向上させ、ひいては新々・総特の実現を通じ、廃炉を含めた福島への責任を全うすることにつながる。
○新体制に移行してから約5ヶ月が経過したが、10年後のありたい姿をビジョンとして掲げ、「ひらく」、「つくる」、「やり遂げる」を合言葉に、社員一丸となって非連続の経営改革にチャレンジしてきた。
○新たな価値創造につながる重要経営課題を審議する場として本年8月にみらい経営委員会を立ち上げ、将来的な電源ポートフォリオ、送配電分野や原子力分野を通じた企業価値向上に関わる取組、お客様へのサービス向上や新たな価値の提供に資するサービスプラットフォームの在り方等について議論を重ねている。
○10月に「稼ぐ力」創造ユニットを新たに設置し、東京電力ホールディングスのガバナンスの下で、人事、研修、カイゼン活動を一体的に運用し、若いうちから経営経験を積ませ、経営改革を牽引する人財を育成していきたい。
○いまだ根強く残っている風評被害への対策については、地元の皆様を始め、様々な関係者の御意見を伺いながら、具体的な行動計画を策定したい。
○廃炉事業においては、これまで以上に地元目線、社会目線に立った能動的かつ戦略的な広報活動を実践したい。
○誠心誠意かつ主体性を持って、福島への責任を果たすとともに、改革を確実にやり遂げたい。
○本年9月に統合報告書を作成し、東京電力の環境・社会貢献、コーポレートガバナンス等の情報を積極的に打ち出すことに加え、経営方針、経営改革に係るトップのコミットメント、各事業分野の戦略等についても情報を提供している。投資家への説明等にも用いており、英語版も作成している。

 運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
○新体制の経営方針は非常に分かりやすく、よく考えられたものだと思うが、これを実践できるように取り組んでもらいたい。また、被災地の住民や東京電力の社員に加え、国民全般に広く知っていただく努力を続けるべき。
○統合報告書は、投資家とのコミュニケーションの場で用いているのか。また、海外からの関心もあると思うが、英語版は作成しているのか。
3.東京電力の取組状況について
 東京電力ホールディングスより、東京電力の取組状況について、以下のとおり説明等があった。
○東京電力の最大の使命は、当然ながら福島への責任の貫徹であり、賠償・復興・廃炉事業という福島事業をグループ一丸となってやり遂げる覚悟である。そのためには、経済事業において非連続の改革を実施して、必要資金を確保する。将来的には、賠償・廃炉で5,000億円を確保した上で、4,500億円規模の利益水準の確保を目指す。
○足元の収支としては、コスト削減や割安な燃料の調達等に努め、上期の実績としては、連結経常利益が2,159億円であった。
○利益の拡大には、コスト削減だけでは限界があるので、売上高の拡大が必要である。エナジーパートナーは、域外での電力販売や家庭用のガス販売、新サービスの提供等で2019年度に4,500億円の売上高を目指している。
○今後は、省エネの進展、人口の減少、競争の激化等により市場環境がさらに厳しくなるが、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働やJERAによる利益の拡大等により、早く3,000億円超の利益を達成したい。共同事業化や連携強化、新規事業、海外事業の展開等を通じて、さらに1,500億円の利益を積み上げて4,500億円規模の利益水準を目指したい。
○新々・総特では柏崎刈羽原子力発電所の再稼働前提をパターン分けして収支を想定しているが、仮に再稼働が遅れるようなことなどがあっても、コスト削減や売上高拡大等に取り組み、福島への責任を果たすための4,500億円規模の利益水準を目指すことに変わりはない。
○電気事業全体としてCO2排出係数は2030年に0.37kg-CO2/kWh程度を目指しており、再生可能エネルギーや原子力によって非化石発電比率44%以上を目指しつつ、火力についてはCO2排出量が石炭より少ないLNGを中心に発電効率を上げることで、目標に向けて取り組みたい。また、非化石発電比率を高めることはエネルギーセキュリティの面でも重要。
○送配電事業・原子力事業は関心を有する会社と共通課題の解決に向けて、東京電力から働きかけを継続して、具体的な検討を進めたい。
○送配電事業においては、人口減少に伴う電力需要の先細り、託送収支の減少、再エネ増加に伴う設備増強投資の増加、設備老朽化に伴う設備更新・修繕費用の増加、担い手の減少が経営課題である。
○送配電事業が目指していく方向は、1点目は福島への責任の全うであり、2点目は経営合理化、統合運用、共同調達を通じた各社との連携強化による送配電の課題対応であり、3点目は小売に近いレベルでの付加価値創造であり、4点目はオールジャパンの技術力を活用した海外事業展開である。
○企業価値を向上していくため、送変電(TSO)、配電(DSO)、宅内(Beyond the Meter)の3つの領域において、それぞれ具体的に、統合的運用、統合的計画・共同調達、新規事業、海外事業として何に取り組んでいくのかを整理し、各電力会社に説明、提案を行っている。各電力会社の置かれている状況に応じて関心分野は異なるが、関心を持っていただいた分野を軸に協議を進め、具体的なアクションにつなげたい。
○また、これからの環境変化を踏まえて、2020年以降の産業形態を意識した託送料金制度等に関する議論が重要。
○原子力事業においては、安全性向上対策の継続に向けた資金面の逼迫懸念、再稼働を進めている中での人的リソースの充当に課題がある。また、電力需要低下の中、市場整備の方向性次第では事業見通しが不透明になる。
○原子力事業が目指していく方向は、1つ目は福島第一原子力発電所の廃炉の貫徹、福島への責任の全うであり、2つ目は各社との丁寧な対話を通じた連携の強化・協力の要請、3つ目は個別課題への対応、4つ目は産業全体の技術継承、3Eの維持に向け、一定規模の開発を実現していくことである。
○青森県はフロントからバックエンドまでを担う極めて重要な地域であり、特に東通は拡張可能性を有する長期的有望地点。
○取り組むべきこととして、1つ目に企業価値向上や安全性向上につながる共通課題解決に向けた連携強化が必要。防災分野、許認可や新規制基準対応を中心とした安全の分野、共同での資材調達などの分野には、既に着手しており、人財、コミュニケーション、燃料調達の分野についても連携を拡大していく取組を進めているところ。2つ目に東通における共同事業の具体的な形を作っていきたい。3つ目に市場設計や法整備を含めた環境整備が重要。
○競争市場で事業に取り組むという意識が社内に芽生え始めている。各電力会社と協議する際にも、少し東京電力の変化というものが見えているのではないかと感じている。
○福島第一原子力発電所の廃炉については、プロジェクト管理機能をしっかりと強化して、廃炉を適正かつ着実に進めていきたい。課題としては、着実なリスク低減の実現、プロジェクト管理機能の強化、そして日本の総力を結集した廃炉推進体制の構築が挙げられる。
○着実なリスク低減の実現については、汚染水発生量の総量を150m3/日程度まで抑制していく。また、陸側遮水壁の残りの未凍結箇所の凍結を8月22日に開始しており、その効果を確認していく。汚染水に関する目下の課題は、増加する貯蔵タンクによるリスクであり、国の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会での議論も踏まえて、国、関係者とよく相談し、東京電力が責任をもって対応していく。
○使用済燃料プールからの燃料取り出しについては、4号機は2014年に終了した。3号機については、取り出し用カバーの設置が進んでおり、2018年度半ばに燃料取り出しを開始予定。1,2号機については、2023年を目処に燃料取り出しを開始予定。
○プロジェクト管理機能の強化については、従来の設備管理型の業務体制ではなくプロジェクト体制を敷いて廃炉業務に対応してきているが、廃炉等積立金制度の開始を踏まえ、計画的に廃炉事業を完遂するため、さらにこの機能を強化したい。
○プロジェクト管理機能強化に際しての課題とそれに対する取り組みとして4点が挙げられる。1つ目は「どの仕事を優先的に行っていくのか」を考えながら仕事を進めていく。2つ目は工程が遅れないように予兆を捉える、あるいはしっかりと情報を共有しながら進めていく。3つ目はコストのぶれを小さくするようリスクの管理に取り組む。4つ目は廃炉に関する取組をしっかりと皆様に理解していただくため、コミュニケーションを強化していく。
○プロジェクト管理を強化するために、課題解決のための建設的業務と日常管理の業務を明確に分け、プロジェクトマネージャーが十分な責任と権限を有する体制に移行していく。
○東京電力は、今までプロジェクトという目線で業務を行っていなかったため、プロジェクト管理の実績が豊かな外国の有識者やエンジニアリング会社の知見を活用している。
○廃炉推進体制については、今後とも廃炉業務等のノウハウを有している原電と協力していきたい。また、産・官・学が一体となった研究開発や国内外の組織との連携に取り組んでいる。

 機構事務局より、廃炉等積立金制度の運用について、以下のとおり説明があった。
○福改正機構法に基づき、東京電力は、毎年、廃炉に必要な資金を機構に積み立てるとともに、取戻し計画に基づいて廃炉を実施。機構は積立額を定め、また、取戻し計画を東京電力と共同で作成し、いずれも経済産業大臣の認可や承認を得る。すなわち、廃炉について、積立金制度の運用を通じて、資金確保と具体的内容の両面から、機構が関与する仕組みとなっている。
○送配電事業における合理化分については、特例として、優先的かつ確実に積立金に充てられることから、廃炉の具体的内容については一層の説明責任を果たす必要がある。他方、不確実性の高い事故炉の廃炉において、詳細な管理は現場の柔軟な判断を拘束し、かえって安全と時間を損なうおそれがある。
○したがって、東京電力が現行のプロジェクト管理を高度化し、これまで以上の体制を確立することを前提として、機構は大きな方向性を管理するとともに、詳細については東京電力の主体的な取組を尊重し、東京電力のプロジェクト管理をオーバーサイトすることが適切。
○機構は、取戻し計画の共同作成に当たり、安全かつできる限り早期に全体リスクを低減していること、作業の重複等がないこと、廃炉の主体としての中長期的な東京電力の経営と両立していることに着目する。
○東京電力が、目指すべきプロジェクト管理体制を明確化するとともに、現実的な移行プランを策定することが重要。具体的には、プロジェクトマネージャーの権限強化・専任化、プロジェクト管理オフィスの設置、長期計画の作成プロジェクト情報の可視化と定量的進捗管理が重要。

 運営委員からの主な意見は以下のとおり。
○足元で需要などが減少傾向にある中で、利益を上げる具体的なストーリーを示してもらいたい。
○柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が計画より遅れる、あるいは再稼働できない場合は、具体的にどのように対応するのか。
○世界的にCO2削減に向けた取組が議論されており、電源ポートフォリオの議論においても、石炭火力を減らして、自然エネルギーや原子力を増加させると、どのようなカーボンバランスになるのかという視点も入れて考えるべき。
○送配電事業のシステムオペレーションについて、日本は海外よりも遅れているので、いかに世界のトップにキャッチアップするかという観点で取り組むべき。
○再編・統合について、各電力会社と合理的な危機意識を共有する方向で取り組んでいると聞いて安心した。他方、東京電力の体質が変わらないと再編・統合も上手くいかないと思う。
○プロジェクト管理機能の強化は重要だと思うが、プロジェクトマネージャーの機能を有した人財を、どのように確保していくのか。
○会社の各事業を遂行し最適化を図る機能はプロジェクトマネージャーが担うこととなるが、会社全体の方向性に関する高度な総合プロジェクトの判断はまさにボードメンバーの仕事。
○東京電力が福島への責任を果すためにも、地域への情報や問題意識の共有が必須。


(以上)