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第55回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

平成29年1月23日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第55回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:平成29年1月23日(月)16:30~18:15

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 新たな特別事業計画の策定に向けて 等


※後日、議事要旨を公表する予定となっております。


(以上)


第55回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:平成29年1月23日(月)16:30~18:15
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:
1.原子力災害からの福島復興の加速のための基本方針と今後の対応について
 資源エネルギー庁より、平成28年12月に閣議決定された「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」と今後の対応について以下の通り、説明があった。
○昨年12月の閣議決定等により、福島事故に関連して確保すべき資金の全体像と、東電と国の役割分担が示された。
○国の対応として、東京電力が廃炉を確実に実施するため、送配電事業の合理化分を廃炉資金に充てることを可能にするとともに、廃炉に係る資金を管理する積立金制度を創設する方針。
○送配電事業合理化分の充当については、託送料金の値下げ命令に関する審査基準等を一部改正することで、1F廃炉資金に充てた合理化分に関しては値下げ命令の対象としないよう、必要な措置を講ずる方針。
○積立金制度については、事故事業者に対して、事故炉廃炉に必要な資金を毎年度、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積み立てる義務を課す方針。このため、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部改正を検討中。

運営委員からの主な意見は以下の通り。
○積立金制度について、積み立てた資金を取り崩す計画は年度単位で決まるのか。
○積立金制度について、東京電力に積み立てる方法もあるなか、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積み立てる意図を明確にすべき。
○安定的な廃炉作業の確保のためには、積立金制度を作るだけではなく、実際に東京電力が積立額を捻出することが必要であり、国としてもしっかりとフォローすべきではないか。

2.新たな特別事業計画の策定に向けて
 東京電力ホールディングスより、新たな特別事業計画策定に向けた議論について、以下のとおり説明があった。
○新たな特別事業計画の理念・方向性について、長期にわたる賠償・廃炉費用の資金確保に向けて、送配電事業等において更なるコスト削減を進めるとともに、送配電事業や原子力事業において共同事業体を設立し、再編・統合を目指していくことを考えている。
○再編・統合を目指すにあたり、大胆な改革実行による企業価値の向上、新たな企業文化の確立を進めるとともに、再編の相手の提案を引き出す姿勢や受容可能性を高める仕組みについても言及したい。
○ホールディングについては、役割の再整理を行い、グループの経営資源である人材・資金等の最効率活用やグループ全体戦略の策定に取り組む方針。
○燃料・火力事業については、JERAへの既存火力発電事業の統合を実現するとともに、火力発電所の生産性向上等により、国際競争力あるエネルギーを安定的に供給することを方針としたい。
○送配電事業については、世界エネルギー市場への事業展開と新たな価値を創造するプラットフォーム事業の展開を方針とし、将来的には世界水準の託送原価の実現、統合的運用を担う共同事業体の設立を目指すこととしたい。
○小売事業については、単なる電力販売ビジネスから効用提供ビジネスへと収益構造の転換に挑戦し、ガス販売、省エネリノベ等を主軸とする新ビジネスの創出に向けてアライアンスを拡大していく方針。
○原子力事業については、原子力安全改革プランの着実な推進等により、社会の信頼を得られる事業運営体制を構築するとともに、投資・費用の構成内容について徹底的に精査することで生産性倍増と安全性の確保の両立を図りたい。
○賠償・復興については、引き続き迅速かつ適切な賠償を実施するとともに、風評払拭に向けた取組など、国等の取組に最大限協力していくことにより、復興のステージに応じた貢献を継続していく。
○廃炉については、管理型積立金制度が新設された際には、機構による管理・監督の下、廃炉作業を実施。リソース・時間をマネジメントし、適切かつ効率的なプロジェクトの運営を行っていく。
○改革の実行体制については、次世代に対する思い切った権限委譲を行っていく必要がある。
○PGの財務基盤強化のため、市場環境等を勘案の上、2016年度中に社債市場への復帰を目指したい。
○東電委員会の改革提言で、例えば廃炉費用として年間3,000億円の確保が必要であることなどが示されたが、実際に足元でも相当の金額を支出しており、必要な資金については毎年しっかりと確保していきたい。

運営委員からの主な意見は以下の通り。
○経済事業について「世界市場で勝ち抜くことで、福島への責任を果たす」という理念が掲げられているが、東電は、新たな特別総合事業計画においても、やはり大前提として、福島への責任を果たすということが第一。そのことを明確に記すべき。
○東電は1Fの事故の責任を全うするということを掲げているわけであり、新たな特別総合事業計画においても、その点を含む理念・方向性を、前文的に最初に掲げるべきではないか。
○原子力事業に関して、生産性の倍増と安全性の確保の両立を図るということだが、まずは安全性の確保が大前提であると考える。
○再編・統合によって得た果実を福島に還元していくということだが、一方で、いわゆるリスク遮断ができなければ再編・統合は進まないと主張されている。これらが両立するという考え方、両立するとして、経済事業から福島事業への資金還元をどう実現するのか、その具体的な制度設計について記すべき。
○廃炉を実施するためには、平均して年間約3,000億円の資金の確保が必要とのことであるが、具体的な見通し・シミュレーションを示すことが不可欠。
○収支の見通しに関連して、交付国債の償還についてもきちんと言及すべき。また、企業価値向上についても、やりにくいとは思うが、具体的にきちんと目標達成できるのか見通しを立ててもらいたい。
○新たな特別総合事業計画については、定量的なデータが出てこないと議論・検証が難しい。掛け声も当然重要ではあるが、収支の見通しを含め、定量的なデータを用いた議論が必要である。
○賠償・復興の取組について、さまざまな意見があるが、非常にきめ細やかな対応や個別の社員に対して、感謝・評価する声もある。
○送配電事業が脚光を浴びているが、どういう形で送配電事業が収益になっていくかというところが見えにくい。よく考えると意外と難しい部分もあり、しっかり検討を進めてほしい。
○送配電事業の共同事業体設立についても、可能な範囲で具体的なイメージを示してもらいたい。
○多額の費用を賄うため、利益を生み出していかなければいけない状況にあり、非常に大変だと思うが、やはり国際競争力のあるコスト構造の実現ということに尽きるのではないか。
○社債市場への復帰は非常に重要で是非やらなくてはならないが、具体的な償還計画もない中、通常のレーティングであれば大きな金額は困難。発行に当たっては後に禍根を残さないよう、過大な政府支援があるとの誤解を招かない観点から、適切な情報提供を行うべき。
○廃炉については、プロジェクトマネジメント機能やエンジニアリング能力の強化が重要であるが、そこをしっかり改善することは、安全にも繋がるし、節約にも繋がっていくので、是非検討すべき。



(以上)