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第61回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会の開催について

平成29年7月13日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構


本日、以下のとおり第61回運営委員会を開催いたしましたので、お知らせします。


日時:平成29年7月13日(木)15:15~16:45

場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事内容:
  • 今後の経営方針について
  • 要賠償額の変更(新々・総合特別事業計画改訂)について 等


※後日、議事要旨を公表する予定となっております。


(以上)


第61回原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会 議事要旨


日時:平成29年7月13日(木)15:15~16:45
場所:原子力損害賠償・廃炉等支援機構 大会議室

議事要旨:
1.今後の経営方針について
 東京電力ホールディングスの川村新会長及び小早川新社長から着任の挨拶と、今後の経営方針に関する説明があった。
○東京電力は、これまで完全な自由競争下になかったことから、他の企業とは異なる企業風土であると感じている。「社内の風通しの悪さ」や「意思決定の遅さ」を改善し、「全社でベクトルを揃える」ことができるように取り組みたい。
○何事も「早く」進めることが、福島に貢献することに繋がるものであり、東京電力は主体性をもって取り組む。
○そのため、取締役会等においても、様々な課題について、徹底した議論を行い、迅速な意思決定に努めたい。
○新体制になっても、福島への責任を果たすことは東京電力の原点であり、今後、いささかも変わることはない。
○新々・総特の実現に向けて、「ひらく」「つくる」そして「やり遂げる」の3つを合言葉に、経営改革を進める。
○5つの宣言、すなわち「『主体性』をもって、福島事業をやり遂げる。」、「組織をひらき、信頼をつくる。」、「自分の力で事業を切りひらく。」、「『エネルギーの未来』をつくる。」、「『稼ぐ力』をつくる。」を掲げており、これらを具体化したい。
○すぐに着手する事項として、次の3つのアクションを進めたい。1つには、主体的かつ責任をもって事業を遂行しうる体制に整備するため、原子力事業の社内カンパニー化を検討していく。これは原子力事業をホールディングスから切り離すということではなく、責任の所在の明確化のために行うもの。
○2つには、将来的な再編・統合に繋げていくためには、相手方とWin-Winの関係になるような提案が重要。事業環境変化も踏まえ、他社との提携も含めた新たなビジネスの創出を提案できるような検討体制を整備する。
○3つには、サービスプラットフォームの再構築にも取り組む。すでに、エナジーパートナーは顧客接点を強化するためのプラットフォーム事業の開発、パワーグリッドは成長を目的としたビッグデータを活用したプラットフォーム事業の開発に取り組んでいるが、ホールディングスとしても、事業を担う人材やシステムの検討等の各事業に共通する課題についてサポートしていく。

 運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
○原子力規制委員会から様々な指摘を受けているが、新々・総特の中でも東京電力がこれまで取り組んできたことを明らかにしており、指摘されていることについて機構としても何らかのアナウンスメントが必要ではないか。
○原子力規制委員会から福島第一原子力発電所のトリチウム水に関する課題等に対して指摘を受けていたが、東京電力のこれまでの取組をしっかりと説明し、有意義な議論を行ってもらいたい。
○原子力規制委員会は独立行政委員会であり、厳しい指摘を行うことは、行政庁の在り方としては健全なもの。東京電力は、耳に心地良い言葉ばかり聞くことがないように留意すべき。
○電力業界は、他の業界と比較して官より民が力を持っている面があること等を自覚しないと、通常の官民関係にならない。初心ということであれば、震災直後の議論にも改めて目を向けて考えることが必要。
○新経営陣は、スピード感をもって顧客と向き合うことが重要。形に見えるように早急に改善を進めてもらいたい。
○主体性を持って福島事業を進めることは重要なテーマ。ただ、主体性を持ってもベクトルがバラバラでは力を弱めるので、社員一人一人まで、ベクトルをしっかり合わせて取り組むことが大変重要。
○廃炉に関するR&Dなど、東京電力は国や機構の動きを見ながら動いている印象がある。主体性を持った取組を進めるとともに、信頼を失っている原子力事業の信頼回復に努めてもらいたい。
○原子力事業に限らないが、東京電力のビジネスは関東や日本に限らず世界がマーケットであることを念頭に置いてもらいたい。
○2020年に向けて各社がシステムを作り込んでいくと思うが、システムは人の投入量の問題ではない。日本のこれまでの強みの一つである「チームプレー」だけで何とかなる話ではなく、天才に近い人間が大きなアーキテクチャーを設計することが重要であり、今までとは違ったマネジメントが必要。
○新々・総特で掲げた経営目標や課題は大変厳しいが、会長、社長のリーダーシップの下でやり遂げてほしい。

2.直近の状況報告について
 東京電力ホールディングスより、直近の状況報告について、以下のとおり説明等があった。
○福島復興に向けて、復興電源であるIGCC建設プロジェクトを進めるとともに、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた送電線建設・運営等の事業会社設立に参画。
○汚染水の建屋への流入量は、対策実施前の平均400m3/日程度から120m3/日程度に低減した。陸側遮水壁について、完全閉合するための実施計画の変更認可を6/26に申請したが、実現すれば一層流入量が低減し、汚染水を貯水するのに必要なタンクの数が抑制される見通し。
○3号機使用済燃料プールについて、燃料取り出し用カバー等設置工事を本年1月に着手し、作業床等の設置工事は順調に進捗しており、2018年度中頃の燃料取り出し開始を目指す。
○6月8日、中部電力との間で、既存火力発電事業および燃料受入・貯蔵・送ガス事業のJERAへの統合に係る合弁契約書を締結。デューデリジェンスを開始し、2019年度上期の燃料・火力事業完全統合を目指す。
○新座洞道火災への対応については、2016年12月末までに、暫定対策として消火ボールの設置を完了した。また、防災対策、洞道内セキュリティ対策等を進めるとともに、抜本的な対策として優先順位付けを行い、OFケーブルのCV化を順次進めていく。
○託送業務システムの不具合による通知遅延については、1,000人規模の対応要員増強、システム改良の順次実施により、やむを得ない理由を除き、9月には7日以内通知、2017年4月以降は全件4営業日以内の通知を実施。今後、システム改良・自動化ツール活用を含む業務の見直しを行い、人海戦術から脱却した、効率的な業務運営を指向する。
○ガス販売に必要な機能を提供するプラットフォームサービスを開始する予定。2017年度中に東電EP・ニチガスグループで50万軒、2019年度時点で総計100万軒相当の顧客獲得を目指す。
○2016年4月の自由化等に伴う状況変化の影響で、エナジーパートナーのカスタマーセンター応答率が50~60%台に低下したが、昨年10月以降、要員増加等の施策実施により、現在は目標の応答率90%を確保している。
○2017年度は、2,000億円の経常利益を目指す。燃料費高騰に伴う電気料金の引き上げにより、売上高は、2016年度より増加を見込むが、燃料費の価格転嫁が3か月後とタイムラグがあるため、経常利益は2016年度より少なくなる。
○柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、原子炉設置変更許可申請の補正書を2017年6月16日に原子力規制委員会へ提出しており、現在、提出した補正書に関して原子力規制庁と議論中である。今後は、補正以降審査書の作成、 パブリックコメント募集、コメントを踏まえた補正書の再提出を経る見通し。
○柏崎刈羽原子力発電所の安全対策工事については、2017年6月末時点で約8割の工事が完了。引き続き、工期短縮に努める。
○免震重要棟の審査対応問題に関する新潟県知事からの要請に対する調査結果に新潟県内で寄せられた代表的な懸念の声への回答を付し、米山知事、櫻井柏崎市長、品田刈羽村長等へ報告した。

 運営委員等からの主な意見は以下のとおり。
○福島第一原子力発電所について、もう人が近寄ることができないと思っている人もいるが、3号機の上に人が乗って作業していることなど、状況が進んでいることも、国民によく説明してもらいたい。
○原子力関係、特に廃炉の話について、内輪の議論になっているように感じる。画期的な進捗もあるが、そうした内容を含め、適切に進捗状況の報告を対外発信することが重要。
○汚染水の問題は、本当は何が安全なのかということをしっかり議論すべき。一方で、柏崎刈羽原子力発電所については、いずれ地元との議論が主になっていく中、国民・地元の信頼確保に向けて、地道に実績を積み上げていくしかなく、しっかり取り組んでもらいたい。
○新座の火災事故について、ただ対策を列挙するだけでなく、各対策によりどういったリスクがなくなるのか、ということを整理・説明すべき。
○JERAの包括的アライアンスについての進捗だけでなく、他の事業分野の提携等に関して次回以降に検討状況を教えてほしい。

3.資金援助額の変更に向けた新々・総合特別事業計画の改訂)について
 東京電力ホールディングスより、資金援助額の変更に向けた新々・総合特別事業計画の改訂について、以下のとおり説明等があった。
○主に環境省との協議が進んだことにより、前回の2017年5月申請以降に要賠償額が1兆2,405億円増加したことを踏まえ、資金援助額を9兆5,157億円に変更したい。
○除染見積額が約9,259億円、中間貯蔵見積額が約2,837億円、出荷制限や風評被害等の見積期間延長や支払実績増加等に伴う被災者賠償見積額が約308億円増加した。
○除染については、今回は大きな金額だが、対策地域内廃棄物や除染廃棄物の処理費用を見積もっており、その他に実績を踏まえた単価・面積の変更等があったことを受けたもの。
○中間貯蔵については、建物等の移転補償や一時保管施設の設置等について見積もっている。

 運営委員からの主な意見は以下のとおり。
○今回の風評被害に係る賠償額は必ずしも大きなものではないが、必要となる風評被害対策については、しっかりと検討すべき。

 その後、新々・総合特別事業計画の改定につき、議決された。


(以上)